トランプ関税撤回の舞台裏――株価と政治の危うい関係

Lawrence O’Donnell 暇つぶし

2025年、ホワイトハウスから驚きのニュースが発表されました。トランプ元大統領が、突如として関税政策の一部を「90日間停止する」とツイートし、株式市場は急反発。

これは、関税強化を背景に下落を続けていたマーケットにとって、まさに「転換点」でした。

イーロン・マスクの影響力と沈黙

注目すべきは、その前日までトランプ政権の関税顧問ピーター・ナヴァロ氏を「レンガよりも頭が悪い」と酷評していたテスラCEOのイーロン・マスク氏が、この撤回発表の当日は何も語らなかったことです。

代わりに声を上げたのは、弟でテスラ役員でもあるキンバル・マスク氏でした。彼はX(旧Twitter)で「トランプ関税は、アメリカ国民に高い物価という負担を押し付けている」と痛烈に批判しました。

関税が株価に与える影響

実はこの関税撤回の発表は、株価の急回復を導くきっかけとなりました。CNBCの記者が「トランプが関税を一時停止するかも」という噂を流した数分間、株価は急騰。

しかしその後ホワイトハウスが否定し、すぐに株価は反落。そして2日後、実際に撤回が発表され、再び株価は急上昇。このような動きは、「市場が完全にトランプの発言に振り回されていた」ことを示しています。

インサイダー取引の懸念

この発表が株価に大きな影響を与えたことで、「発表前にこの情報を知っていた人物が、株で利益を得たのでは?」というインサイダー取引の疑いも浮上。

実際、ホワイトハウス内部で誰がこの情報を事前に知っていたのかを調査すべきだ、という声が議会で上がりました。

「直感」で企業を優遇?

さらに問題視されたのが、トランプ氏の「関税を免除する企業をどう選ぶか?」という問いに対する答え。「直感で決める」と述べたのです。

これにより、どの企業が優遇されるのかが不透明となり、「政治的なつながりがある企業だけが得をするのでは?」という不信感が高まっています。

テスラは関税免除対象になるのか?

アメリカで販売されているテスラ車の多くは、中国製の部品に依存しています。したがって、関税が強化されるとテスラのコストが上昇し、利益が圧迫されることになります。今回の90日間の猶予期間中に、テスラが特別扱いを受けるか否かは、今後の注目点となるでしょう。

今後予想される「ロビイングの嵐」

この関税政策の混乱を受け、今後ホワイトハウスには多くの企業が「うちの会社も関税を免除して!」と lobbying(ロビイング)活動を行うと予想されます。

特定の企業だけが関税を免除される構造は、「公平性」を損ない、市場の信頼を揺るがすことになりかねません。

政治と市場の危うい関係を見抜こう

今回の関税撤回劇は、経済政策がいかに政治に左右されやすいかを示す象徴的な出来事でした。市場にとっては「不確実性」が最大の敵であり、トランプ氏の発言ひとつで資産価格が乱高下する状況は、健全とは言えません。

投資初心者の皆さんにとっては、こうした政治と市場の関係を理解することが、今後の投資判断に大きく役立ちます。情報の真偽を見極める力を養い、「流されない判断力」を持つことが、どんな相場でも生き残る鍵です。

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