【バフェット氏、CEO退任を発表!2025年バークシャー・ハサウェイ株主総会】記録的現金の行方と「賢人」から次世代へのメッセージ

Warren Buffett preside over the full 2025 Berkshire Hathaway annual shareholder meeting 株式

投資家の皆さんが心待ちにしていた年に一度の祭典、「資本家のウッドストック」とも称されるバークシャー・ハサウェイの株主総会が、2025年5月2日に開催されました。

動画のバフェット氏は、とても元気でしたね。
眼の前に置いてあるコーラの缶、耳たぶの大きさ、4時間半も続けて話す明晰さ、まだまだバフェット氏の世界の捉え方を見ていたいです。

ウォーレン・バフェット氏、そして後継者として期待されるグレッグ・アベル氏(非保険事業担当副会長)、アジット・ジェイン氏(保険事業担当副会長)の姿がありました。

世界中から集まった株主からの多岐にわたる質問に、ユーモアと知恵を交えながら答えるバフェット氏。その中で語られた未来への洞察、そして何よりも世界に衝撃を与えた歴史的なCEO交代の発表を含め、総会のハイライトを詳しくレポートします。

バークシャー最新事情:2025年第1四半期決算速報

総会に先立ち発表されたバークシャー・ハサウェイの2025年第1四半期決算は、同社の現在の状況を明確に示していました。

  • 営業利益の減少: 営業利益は96億4000万ドルとなり、前年同期の112億ドルから14%減少。市場のアナリスト予想を下回りました。企業活動を取り巻く環境の厳しさが伺え、特に同社は関税が今後さらなる利益圧迫要因となる可能性に警鐘を鳴らしています。
  • 為替の影響: 米ドル安の影響を受け、約7億1300万ドルの為替差損を計上。前年同期は約6億ドルの為替差益だったことからも、為替変動の大きさが分かります。
  • 継続的な株式売却: 10四半期連続で株式を純売却しており、第1四半期には15億ドル相当の株式資産を手放しました。これは、現在の株式市場に対するバフェット氏の慎重なスタンスの表れと言えるでしょう。
  • 過去最高の現金準備高: 一方で、四半期末の現金準備高はなんと過去最高の3,477億ドルに達しました!バフェット氏はこの膨大なキャッシュについて、現在の不確実な投資環境において慎重な姿勢を崩さないとしつつも、今後5年間に「非常に良い投資機会」が現れる可能性を示唆しました。この巨額の資金が、次世代バークシャーでどのように活用されるのか、大きな注目が集まっています。
  • 自社株買いの一時停止: バイデン政権が導入した自社株買いへの1%課税の影響もあり、自社株買いプログラムを一時的に停止しています。

バフェット氏が語る:混迷する世界、投資哲学、そしてバークシャーの未来

株主からの多岐にわたる質問に対し、バフェット氏はその深い洞察と実践的な知恵を惜しみなく披露しました。

「貿易は武器にあってはならない」保護主義に警鐘
バフェット氏は、貿易を外交的な武器として利用することに強く反対し、保護主義的な政策は「重大な間違い」になると警告しました。各国がそれぞれの得意分野を活かし、自由で公正な貿易を推進することの重要性を改めて強調しました。

米国経済と財政への懸念、揺るがぬ米国への信頼
「米国における私の最大の懸念は財政政策だ」と述べ、政府の無責任な行動が長期的に通貨価値を損なう可能性を指摘しました。しかし、同時に「米国例外主義」を支持し、米国に生まれたことの幸運を語るなど、その根底にある米国への揺るぎない信頼を垣間見せました。

日本の商社株への「愛」:長期保有と更なる期待
日本企業への投資に関する質問では、「今後50年、60年と日本の商社の株を保有し続けるつもりです。日銀が金利を引き上げても売却は考えていない」と、その超長期保有の意思を明確にしました。さらに、現在の投資額200億ドルに対し、「1000億ドルを投資すればよかった」と述べ、日本のポテンシャルを改めて高く評価していることを示唆しました。

記録的な現金の使い道は?「チャンスを待つ」
過去最高水準にある約3500億ドルの現金準備高について問われると、バフェット氏は「今後5年間で投資機会が生まれるかもしれない」と、好機を虎視眈々と待っている姿勢を示しました。最近も100億ドル規模の投資に近づいた案件があったことを明かしつつ、「非常に魅力的な機会は時々あります。しかし、毎日ではありません」と、引き続き規律ある投資を続けることを強調しました。

投資判断の要:損益計算書より「貸借対照表」を重視
バフェット氏は、企業価値評価において損益計算書よりも貸借対照表(バランスシート)を重視する理由を説明しました。「貸借対照表では隠したり操作したりすることが難しいものがある」とし、企業の真の姿を見るためには8年から10年分の貸借対照表を確認することの重要性を説きました。これは、短期的な利益だけでなく、企業の財務健全性を深く見抜くという、バフェット氏の投資哲学の根幹を示しています。

若い世代へのアドバイス:誰と歩むかが重要
投資という枠を超え、若い世代への人生訓も贈られました。「自分が尊敬し、なりたいと思う人たちと友達になるよう努力すべきです。成功への最速の道は、本当に優れた人を見つけ、彼らとともに歩むことです」と、良い人間関係を築き、信頼できる人々と共に成長していくことの価値を語りました。

AIの可能性とバークシャーのスタンス
AIが保険業界にもたらす変化について、アジット・ジェイン氏は「業界のルールを変えるツールになる可能性は高い」と認めつつも、バークシャーとしては「最速で、あるいは最初に行動を起こすことが得意ではありません。むしろ、チャンスが現実化するまで様子見の姿勢です」と述べ、先進技術に対するバークシャーらしい慎重なアプローチを示しました。

歴史的な転換点:グレッグ・アベル氏へのCEOバトンタッチ

そして、この日の総会で最も世界が注目した、歴史的な瞬間が訪れました。質疑応答の終盤、バフェット氏は、取締役会に対し、グレッグ・アベル氏を年末までにCEOに任命することを提案すると発表したのです。

これは事実上、「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏がバークシャーの最高経営責任者から退くことを意味します。長年にわたりバークシャーを率いてきたカリスマ経営者からの交代劇に、会場はどよめき、そして万雷の拍手に包まれました。

バフェット氏は、自身の保有するバークシャー株は一切売却せず時間をかけて寄付する意向を示し、アベル氏への交代は「経済的な判断」であり、「バークシャー社の将来性は私の経営下よりもグレッグ氏の方が良くなると考えたからだ」と、アベル氏への絶大な信頼を表明しました。バフェット氏は退任後もバークシャーに留まり支援を続ける意向ですが、最終的な意思決定はアベル氏に委ねられることになります。

賢人の哲学は次世代へ受け継がれる

2025年のバークシャー・ハサウェイ株主総会は、単なる年に一度のイベント以上の意味を持つ場となりました。ウォーレン・バフェット氏の不変の投資哲学、混迷する世界経済への鋭い洞察に加え、何よりもグレッグ・アベル氏への歴史的なバトンタッチという、バークシャー史における重要な一ページが刻まれたのです。

いつかあることだと思っていましたが、ついにその日が来ました。

過去最高の現金を手に、アベル氏率いる新生バークシャーがどのような戦略を描き、成長していくのか、世界中の投資家が固唾をのんで見守っています。「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏の知恵と哲学は、形を変えながらも、これからもバークシャーを、そして投資の世界を照らし続けることでしょう。

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