急落にどう動く?オルカン vs ROBOPRO投信|現金・守備配分の「可動域」を見極める

株式

全世界株式インデックス(通称オルカン:eMAXIS Slim 全世界株式)と、AIが毎月ダイナミックに資産配分を変える「ROBOPROファンド」(SBI岡三アセットマネジメント)を、急落局面での守備(現金やディフェンシブ配分)という一点で比較します。

インデックスは指数追随で誤差を抑える設計。一方ROBOPRO投信は、AI予測に基づき株式・債券・金・不動産・短期金融商品などを機動的に組み替える設計です。

最大の論点は「急落の瞬間に、どこまで守備側にギアを落とせるか」。その可動域と実務の見方をまとめます。

結論サマリー:急落時の「守備可動域」

  • オルカン:指数連動が至上命題。大胆な現金化(高キャッシュ待機)は基本想定外で、市場とともに下落・反発を受け止める設計です。目論見書もインデックス連動を明確化し、裁量的キャッシュ操作は限定的です。
  • ROBOPRO投信:毎月(必要時は臨時)リバランスで、株から債券・金・不動産・短期金融商品へと守備に寄せられる設計。実際の月次では「短期金融商品・その他」を保有(例:2025年9月は3.4%)し、AI助言に基づく配分変更レポートも定期発信。

用語メモ:本稿での「現金比率」は、月次レポート等における「現金・預金・コールローン・短期金融商品」などの合計的な流動性枠を指します。インデックス投信の小口現金は主に解約対応・配当再投資待機などの事務的用途で、相場観に基づく防御とは性格が異なります。

設計思想の差:指数連動 vs AIダイナミック配分

オルカン:指数に忠実=裁量防御は原則とらない。

オルカンはMSCI ACWI等の指数に連動するインデックス型。ベンチマーク乖離を避けるため、相場観で現金を厚く持つといった裁量は取りにくい構造です。暴落時も指数準拠で被弾し、戻りも指数準拠で取りに行くのが基本線です。

ROBOPRO投信:AI予測で守備・攻撃を切替。

ROBOPRO投信は、FOLIOのAI助言に基づき、月次(+臨時)で資産配分を機動的に変更。株式比率を落として債券・金・不動産・短期金融商品へ振るなど、急落時の守備寄せが設計上可能です。

実際、運用会社の配分コメントやリバランス日程が公開され、守備→攻撃の切替プロセスが可視化されています。

データの足跡:月次で何を見れば「守った」か分かるか

ROBOPRO投信の月次レポート(例:2025年9月)

  • 短期金融商品・その他:3.4%(ポートフォリオ構成比の例)。
  • 投資対象ETFは米国株/先進国株/新興国株/米国債券/ハイイールド/新興国債/不動産/金など。守備寄せ=株比率↓+債券・金↑+短期金融商品↑という形で表れます。
  • リバランスは月例が基本、相場急変時は臨時実施の可能性。

リスク指標・下落耐性の示唆

運用者の公開資料では、世界株式指数に比べて最大下落率(ドローダウン)を抑制できた期間が示されるなど、守備寄せの効果を主張しています。もちろん将来保証ではないものの、設計上「防御へ倒せるハンドル」が付いているのは事実です。

急落時のシナリオ別に「起こりやすい挙動」

短期ショック(−20〜−30%級)

オルカン:指数に素直に追随して下落。裁量的な現金積み増しは基本なし。リカバリーも指数とともに受ける設計です。

ROBOPRO投信:AIの見通し悪化に応じ、株比率を落として債券・金・短期金融商品へ逃がす動きが理論上可能。月次や臨時での配分変更コメントが「守備寄せ」の痕跡になります。

数四半期〜数年の停滞

オルカン:分散と低コストの複利に賭け、定時積立・再投資で粘る戦略。裁量防御はない分、人間の判断ミスを抑える設計が強みです。

ROBOPRO投信:守備寄せを長期化すると機会損失が増えるため、攻撃復帰(株へ戻す)タイミングの巧拙が成否を分けます。各月の配分トラックで復帰速度を要確認。

実務チェックリスト:急落期に何を見るか

① 配分トラック(株↔債券↔金↔短期金融)の時系列

ROBOPRO投信は月次PDFと「配分変更コメント」で痕跡が残るため、株比率の下げ幅/短期金融・金の上げ幅/復帰の速さを並べて観察します。臨時リバランスの告知も追う。

② 短期金融商品の比率

短期金融は「実質キャッシュ枠」。比率上昇は守備強化のサイン。月ごとに増減をメモ化し、急落初動→底→反発でどう推移したかを見る。

③ オルカンは目論見書確認で十分

インデックス連動ゆえ、裁量現金化は期待しない前提で設計(積立・長期・低コストの徹底)。月次コメントで相場観を読む必要は基本的にありません。

手数料・注意点(ごく要点)

  • オルカン:超低コストで長期の王道。だが、急落時の防御は設計上ほぼ効かないと心得る。
  • ROBOPRO投信:信託報酬はバランス型としての水準。AIリバランスが功を奏すればドローダウン抑制の余地がある一方、読み違いのリスクもある。毎月の配分コメントと月次PDFを必ず確認

ユーモア一粒:守るだけでも、攻めだけでも勝てない。

オルカンは「最後に平均が勝つ」という陣形、ROBOPROは「状況で布陣を変える」可変フォーメーション。ディフェンスが固いだけでは点は入らず、攻めだけではスタミナが切れます。

観戦でなく運営の立場として、どちらの采配が自分のメンタルとルールに合うかを決めておきましょう。

急落に注目するなら「設計×月次の痕跡」を見る。

急落時の安心材料は、オルカン=指数連動でブレない土台ROBOPRO投信=AI配分で守備へ倒せる可動域という設計の違いを理解し、月次PDFと配分コメントで守備寄せ→攻撃復帰のトラックを追うことです。

二刀流での併用も現実的な選択肢。市場が荒れても、数字と設計で不安を言語化できれば、腰の据わった運用が続けられます。

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