国債が売られると株はどうなるのか

株式

最近のニュースでは、世界で国債が売られて長期金利が上がり、日本でも米国でも株が不安定になりやすいと言われています。

不安定になる流れは、お金を借りる金利が上がると、会社のもうけの見え方が変わり、株の値段を決める物差しが厳しくなるからです。さらに財政への不安や関税の話が重なると、株は全体が強くなるというより、強い業種と弱い業種が入れ替わりやすくなります。

アングル:国債売りが世界的に拡大、日本の長期金利高騰とグリーンランド問題で
日本の長期金利高騰とグリーンランド問題が20日の主要国債市場を大きく揺さぶり、軒並み売りが広がった。浮き彫りになったのは、世界的な財政悪化と債務増大に対する投資家の不安だ。

いま何が起きているのか

今回の震源として注目されたのは、日本の長期金利です。

報道では、日本の10年国債の利回りが短い期間で大きく上がり、30年も大きく動いたとされています。国債の利回りが上がるということは、国債の値段が下がったという意味です。国債が売られると、世の中の金利の基準が上がりやすくなります。

豆知識:金利のニュースで出るbpはベーシスポイントの略です。1bpは0.01パーセントポイントです。19bp上昇は0.19パーセントポイント上がったという意味です。

株に効く3つのルート

国債売りや関税の話が、なぜ株に効くのかは3つに分けると理解しやすいです。

  • 割引率ショック。長期金利が上がると、将来のもうけの価値を現在に換算するときの割引が大きくなります。結果として、PERが高い銘柄や成長株が不利になりやすいです。
  • 財政リスクの再評価。国債は安全という前提が揺れると、国債の持ち方自体が見直されます。国の借金が増えそうだと見られるだけでも、金利は上がりやすくなります。
  • 関税と地政学。関税が強まるとモノの値段が上がりやすく、企業のコストも上がりやすいです。一方で貿易が滞ると景気は弱くなりやすいです。景気にはマイナスで、物価にはプラスになり得るので、金利が下がりにくい組み合わせになります。

株が上がる局面が来たとしても、上昇の理由が景気への期待ではなく、業種の入れ替えになりやすい点です。全体が一斉に強くなるというより、資金が動く場所が変わりやすい局面です。
下記で解説していきます。

豆知識:国債の利回りが上がるのに、なぜ国債が売られていると言うのかが混乱ポイントです。国債は値段が下がるほど、買った人にとっての利回りが上がる仕組みだからです。

日本株は指数が重くなりやすい一方で強い業種も出やすい

なぜ指数が上がりにくくなるのか

日本株全体で見ると、長期金利が上がるあいだはTOPIXや日経平均の上値が重くなりやすいです。理由は株の値段を決める割引の基準が上がるからです。

将来のもうけを高く買いにくくなります。特に指数に影響が大きい大型の成長株は、この影響を受けやすいです。

ただし全面安ではなく中身が入れ替わりやすい

日本株は全部が同じように下がるというより、勝ちやすい業種と負けやすい業種が分かれやすいです。金利が上がること自体が追い風になる業種があるからです。

  • 相対的に強くなりやすい。銀行や保険は、金利上昇で運用利回りが改善する期待が出やすいです。物価上昇に強く、値上げが通りやすい企業も評価されやすいです。
  • 相対的に弱くなりやすい。高PERのグロース株は金利上昇に弱いです。加えて円が強くなりやすい局面では輸出企業の利益見通しが悪化しやすく、指数の重さにつながります。

もう一つの見落としがちな点は、日本の投資家が国内の国債利回り上昇を見て資金を国内債券に戻す連想です。海外の債券や株から資金が引きやすいと見られると、世界のリスク資産には逆風になりやすいです。

米国株は長期金利が主役で関税不確実性が上乗せされやすい

米国株でいちばん効きやすいのは長期金利の上昇です。特にNASDAQのように、将来の成長で評価される銘柄が多い指数ほど影響が出やすいです。将来の利益を現在の価値に直したときに目減りしやすいからです。

そこに関税の不確実性が乗ると、企業は設備投資や在庫計画を立てにくくなります。不確実性が増えると、投資家は同じ利益でも安全の上乗せ分を求めがちです。これが株のバリュエーションを押し下げやすい理由です。

米国でも業種の色分けが起きやすいです。金融は金利上昇がプラス材料になり得ますが、景気が弱ると貸し倒れの心配も出るので、良い面だけでは決まりません。生活必需品やヘルスケアのようなディフェンシブは、不確実性が高い局面で資金が向かいやすいです。逆に高PERの成長株や、関税の影響を受けやすいサプライチェーンは警戒されやすいです。

いちばん重要な分岐点は為替と資金の戻り方

今回の話は、株そのものより金利と為替と国境をまたぐ資金の動きが主役です。日本の金利上昇が続けば、円が踏ん張りやすくなり、輸出企業の利益見通しにブレーキがかかりやすいです。逆に円安が続けば輸出企業には追い風ですが、輸入コストの上昇が別の企業を苦しめます。どちらか一方が絶対に良いという話ではなく、勝ちやすい業種が入れ替わるだけです。

もう一つは、日本の機関投資家が国内債に戻す動きです。もし戻りが強いと見られると、米国債や欧州債に売り圧力がかかりやすくなり、世界の長期金利が下がりにくくなります。金利が下がりにくいということは、株のバリュエーションも戻りにくいということです。

国債が売られる、長期金利が上がるということ

国債が売られて長期金利が上がる局面は、日米とも株の値段を決める物差しが厳しくなりやすい環境です。

全体の上げ下げよりも、中身の入れ替えが起きやすいこと。金利に弱い成長株が先に傷みやすく、金融やディフェンシブが相対的に強くなりやすいです。さらに関税や地政学の不確実性が重なると、企業の行動が読みにくくなり、株は安全の上乗せ分を求められやすくなります。

ニュースを見るときは、金利と為替と資金の流れの3点セットで追うと、何が起きているのかを整理しやすくなります。

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