金銀レシオから銀の上昇余地を考える、2026年1月時点

金銀レシオ 暇つぶし

金銀レシオは、金価格を銀価格で割った比率で、銀が金に対して相対的に高いか安いかを大づかみに見る指標です。便利な反面、これだけで銀の上昇余地を決め打ちすると危険です。

銀が貴金属である一方で工業素材でもあり、金とは動く理由が増えるからです。

まず結論 金銀レシオだけなら銀は割安というより高め寄り

金銀レシオは長期で大きく振れますが、1970年代以降の長期平均はおおむね65前後とされます。いっぽう2026年1月中旬の金銀レシオは約49付近まで低下しています。これは銀が金に対して相対的に強く買われた局面であり、レシオだけを見る限り、銀は割安というより高め寄りに位置します。

ここから銀の上昇余地を作るには、さらにレシオが縮むという追加の強い前提が必要です。逆に、平均へ戻るだけで銀は下押しされます。

レシオ要因だけで銀はどれくらい動くか

銀価格は、金価格をレシオで割った値として計算できます。

ここでは目安として、2026年1月中旬の近辺で金が4,800ドル台、銀が90ドル台という水準感を起点にします。計算はあくまで機械的な目安であり、実際の相場は金と銀が同時に動く点に注意してください。

金価格を固定してレシオだけ動かす

仮に金が4,826ドルで固定だとして、レシオが平均の65へ戻ると銀は約74ドルになります。これは90ドル台から見ると下方向が目立つ計算です。

いっぽうレシオが49なら銀は約98ドル、45なら約107ドル、40なら約121ドル、30なら約161ドルになります。つまり銀の上方向は、レシオが40や30まで縮むような強い展開が要ります。

現状のレシオがすでに低めなので、レシオだけで上を追うほど簡単ではありません。

豆知識: 金銀レシオは危機局面で一気に開くことがあります。銀は工業需要の影響を受けやすく、景気不安が強い局面では銀が置いていかれてレシオが上がることがあります。レシオは平均へ戻るだけでなく、極端へも走る指標です。

追加章 金価格がまだ上がる前提を加味すると銀の余地はどう変わるか

金がまだ上がる前提を入れると、銀の結論は単純に強気にはなりません。

なぜなら銀は、金が上がる理由によっては追随できず、金銀レシオがむしろ広がることがあるからです。

金が上がってもレシオ次第で銀は伸び方が変わる

例として金が5,400ドルまで上がった場合を考えます。レシオが52のままなら銀は約103.8ドルで、起点の93.4ドルから約11.2パーセント上昇です。レシオが49なら銀は約110.2ドルで約18.0パーセント上昇です。レシオが45なら銀は120ドルで約28.5パーセント上昇です。レシオが40なら銀は135ドルで約44.5パーセント上昇です。ところがレシオが平均の65へ広がると銀は約83.1ドルとなり約11.1パーセント下落します。同じ金高でも、レシオが縮むか広がるかで銀は正反対の結果になります。

さらに金が6,000ドルまで上がるケースでも同じ構造です。レシオ52なら銀は約115.4ドルで約23.5パーセント上昇です。レシオ49なら約122.4ドルで約31.1パーセント上昇です。レシオ40なら150ドルで約60.6パーセント上昇です。いっぽうレシオ65なら約92.3ドルでほぼ横ばいに近いです。銀の上昇余地は、金の上昇そのものより、金の上昇に銀がどれだけ追随できる環境かで決まります。

分岐1 金が上がる理由が安全資産買い中心なら銀は置いていかれやすい

金が上がる理由が地政学リスクや金融不安などで、安全資産としての金が強く買われるタイプだと、銀は金ほどは買われず、レシオが広がりやすくなります。銀は工業需要の影響を受けやすいので、景気不安が重なると銀にとっては逆風になりやすいからです。このタイプの金高では、金は上がるのに銀は伸び切らないか、場合によっては下がることすらあります。

分岐2 金が上がる理由が金融緩和や実質金利低下中心なら銀も乗りやすい

いっぽう金が上がる理由が金融緩和期待や実質金利の低下などで、貴金属全体に資金が入りやすい環境なら、銀も追随しやすく、レシオが縮む余地が出ます。このとき銀は金より値動きが大きくなりやすく、レシオ40台への縮小が起きれば、銀の上昇幅は見た目に大きくなります。ただしこの展開は、銀に資金が回りやすいセンチメントが必要です。

分岐3 銀の工業需要が強いか弱いかがレシオの方向を決める

銀が金に勝つ場面では、金高に加えて銀側にも買う理由が必要です。景気が底堅く工業需要が強い、もしくは供給や在庫がタイトで現物が意識される、といった材料が重なるとレシオは縮みやすくなります。反対に景気不安や製造業の失速が目立つと、金は上がっても銀が弱くレシオが広がりやすいです。ここが金銀レシオだけでは見えない重要ポイントです。

実務メモ: 銀の投資判断をするなら、金の強さだけでなく、レシオが縮む環境かどうかをセットで確認した方がよいです。金が強いのにレシオが上がる局面は、銀が取り残されているサインになりやすいです。

銀の上昇余地

  • 金銀レシオだけで見ると、2026年1月時点の銀は割安というより高め、これからの買いは投機です
  • レシオが平均へ戻るだけで、銀は下押しされる計算になります。
  • 金がまだ上がる前提を入れても、銀が割高なのであまり追わない。

銀の上昇余地は金の上昇そのものより、金の上昇局面で銀に資金が回るかどうかに左右されます。レシオが低い局面では、上方向の余地を作るために追加条件が要り、下方向は平均回帰だけで出てしまいます。

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