【みずほマーケットトピック】円安ホクホク発言が市場に投げた火種、外為特会と企業行動の誤解をほどく

暇つぶし

2026年2月での政局と為替をめぐる議論は、株式市場にとって材料が多すぎて、どれを重視すべきかが見えにくくなっています。

みずほのマーケットレポートが問題視したのは、円安を良し悪しで語ること自体よりも、その背後にある現状認識です。具体的には、円安が進めば日本企業が国内投資へ戻り、経済が強くなるという発想がいまも温存されていないかという点と、外為特会が有事の通貨防衛の原資という理解が薄いまま、含み益や運用益が政治的に消費され得るという点です。

https://www.mizuhobank.co.jp/forex/pdf/market_analysis/econ2600202.pdf

今回の論点は円安容認かどうかではない

発言が円安容認に見えたかどうかは、ニュースとしては分かりやすい争点です。しかし、市場が本当に警戒するのは、発言が示した政策の価値観です。円安が関税の緩衝材になるという説明は、短期の損益計算としては成立し得ます。一方で、その延長線上に、円安が進めば国内投資が増え、企業の行動が変わるという期待が置かれているなら、そこは投資家が冷静に疑うべき場所です。為替は企業の意思決定に影響しますが、為替だけで企業の生産拠点や投資先が劇的に変わるほど単純ではありません。

過去の円安局面でも、日本企業は国内回帰よりも海外投資を積み増し、稼いだ収益を現地で再投資する傾向が強まりました。

外為特会をホクホクと扱うことの市場リスク

外為特会の含み益が膨らむという話は、円換算の評価としては起こり得ます。しかし、外貨準備の本質は、儲けの源泉ではなく、有事に使うための準備資産です。外貨準備は為替介入に使われる資金であり、通貨危機などで外貨建ての支払いが難しくなる場面に備える性格もあります。ここを資金余力として語り、平時の政策財源のように扱う空気が強まると、市場は通貨防衛の意思と余力に疑念を抱きます。

さらに厳しいのは、通貨防衛の局面では、外貨準備は無限に使えるものではないという点です。円買い介入は保有外貨を売って行うため、残量が意識されるほど投機側に有利なゲームになります。外為特会は弾薬に例えられることがありますが、それは有限だからです。有限な弾薬を目的外に薄く使う印象が出た瞬間に、為替のボラティリティが上がりやすくなります。

豆知識 為替は方向よりも荒さが嫌われます。円安か円高かより、短期間で値幅が出ることがヘッジコストの急変を招き、海外投資家の日本株ポジションを縮める理由になります。

個人投資家が見るべきは株価ではなく金利と為替の順番

政治発言が引き金になった局面で、債券市場が先に反応し、次に為替が荒れ、最後に株が追随します。

論点 何が誤解されやすいか 市場が本当に気にすること 個人の判断で使う見方
円安は輸出に有利 円安が続けば国内投資が戻ると短絡しやすい 利益の増加よりも為替の荒れ方が投資資金を逃がす 円安の速度が滑らかかどうかを優先して見る
円安は関税の緩衝材 一時の損益計算が長期政策の正当化に使われやすい 関税と為替の相殺は永続せず不確実性が残る 企業の利益よりも為替差損リスクの上昇を警戒する
外為特会の含み益 円換算の評価益を財源のように扱いやすい 通貨防衛の弾薬を軽視している印象が出ること 介入への思惑で為替が荒れたら株のリスクを落とす
円安で企業行動が変わる 為替だけで投資先が動くと考えやすい 企業は人口動態や税制や規制など複合要因で動く 国内回帰の物語より、設備投資の実績と資本移動を見る

個人のアクションは三段階で決める

行動は細かい売買テクニックではなく、転機になったかで切り替えるべきです。

ここでは三段階に分けます。第一段階は、ご祝儀で指数が上がっても、債券と為替が落ち着いているかを確認する段階です。第二段階は、金利上昇と円安が同時に進み、価格形成が荒くなる段階です。第三段階は、日銀が静観して実質的な引き締めと同じ環境に入り、株の前提が変わる段階です。

段階 よくある見え方 確認すべき指標 個人が取るべき行動
第一段階 政治の安定で株が上がりやすい 超長期金利が急騰していないか、為替が滑らかか 買い増しは急がず、現金比率を残して様子を見る
第二段階 株高なのに値動きが荒くなる 国債入札の弱さ、円安の加速、日中の値幅の拡大 高い評価の内需株や長期成長株を縮小し、利益確定を優先する
第三段階 金利高を日銀が止めない印象が出る 臨時買い入れの有無、政策姿勢の変化、実質金利の上振れ 株式比率を大きく落とし、防衛を最優先に切り替える

みずほのレポート

今回のレポートは、円安の是非を語る話ではなく、政策当局がどんな因果関係を信じているかという話でした。

円安で企業行動が変わるという物語が強いほど、現実とのズレが溜まり、どこかで債券と為替が荒れて調整が来ます。外為特会を財源のように扱う空気が出るほど、通貨防衛への信認が下がり、為替の荒さが増すので、どういう雰囲気になっているかをここで知ることができます。

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