【Z世代、SNS疲れ向け】「いいね」に振り回される人生、もう終わりにしませんか?アドラー心理学がSNS疲れを根本から解決する理由

アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉 【本】

朝起きてまず確認するのはスマホの通知。投稿した写真の「いいね」の数が少ないと、なんとなく一日が憂鬱になる。友人のインスタを見るたびに、充実している相手と比べて自分がみじめに感じる。そんな経験、ありませんか?

野村総合研究所の調査によると、Z世代の約50%がSNS疲れを感じており、女性に限ると実に61%に上ります。またジャストシステムの調査では、20代・30代のFacebookユーザーの7割以上がSNS利用によるストレスを経験しているというデータもあります。SNS疲れはもはや一部の人の悩みではなく、この世代全体が抱える社会問題になっています。

そんなSNS疲れを根本から解消するヒントを、100年以上前の心理学者がすでに書き残していました。今回レビューするのは、小倉広氏が著した『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』(ダイヤモンド社・2014年)です。ビジネス書の文脈で語られることが多い本書ですが、実はSNS社会に疲れた20代・30代にこそ、最も刺さる一冊かもしれません。

SNS疲れの正体は「承認欲求」だとアドラーは見抜いていた

なぜSNSを使うと疲れるのでしょうか。アドラー心理学はその答えを明確に示しています。SNS疲れの正体は、他者からの評価や承認を人生の軸にしてしまっていることにあります。

「いいねが多いと嬉しい、少ないと不安」という感情は、自分の価値を他人の反応によって測っているサインです。アドラーはこれを「承認欲求」と呼び、人間が持つ最も根深い欲求のひとつとして分析しました。そしてこう言い切ります。承認欲求を満たそうとする限り、人は永遠に自由になれない、と。

承認欲求は際限がありません。100の「いいね」をもらっても、次は200が欲しくなる。フォロワーが増えても、さらに増やしたくなる。他人の評価をゴールにしている限り、そのゴールは常に遠ざかり続けます。SNSが疲れる理由は、スマホの使いすぎではなく、承認欲求という終わりのないレースに参加し続けているからなのです。

データ:SNS疲れの具体的な原因トップ2

野村総合研究所の調査によると、Z世代女性がSNS疲れを感じる主な理由として、「友達やフォロワーの投稿を見て自分と見比べてしまう(41%)」と「自分が投稿した内容にいいねや共感コメントが得られるか不安になる(39%)」が上位に挙がっています。いずれも「他者の目線」が原因になっており、アドラーが100年前に指摘した承認欲求の問題がそのまま現代のSNSに再現されていることがわかります。

本書の構成と、SNS疲れに効く章はどこか

本書は100の言葉を10のテーマに分けて収録しており、見開き1ページで1つの言葉と解説が完結します。通勤中や寝る前のわずかな時間でも読めるため、忙しい20代・30代にとって使いやすい構成です。SNS疲れに特に関係する章を以下に整理しました。

章のテーマ SNS疲れへの処方箋
自己決定性(すべてあなたが決めたこと) SNSをやめられないのは自分の選択だと気づく
劣等感(そのままの自分を認めよ) 他人の投稿と比べて落ち込む習慣を断ち切る
感情(感情には隠された目的がある) いいねが少ない不安の「本当の目的」を知る
ライフタスク(あらゆる悩みは対人関係に行き着く) オンラインの人間関係疲れを整理する
課題の分離(他人の課題を背負うな) 他人がどう思うかは他人の課題だと割り切る
共同体感覚(幸せは他者への貢献にある) 消費するSNSから貢献するSNSへ意識を変える

SNS疲れを消すアドラーの3つの核心

1. 他人の評価を人生の軸にするのをやめる

アドラーは「他者からの承認を求めることは、他者の人生を生きることだ」と言います。これはSNSの文脈で言い換えると、「フォロワーや反応を気にして投稿内容を決めることは、自分ではなく他人の好みに合わせた人生を送ること」になります。

自分が食べたいものを食べたのに、映えを意識して写真を撮り、反応が少ないと「失敗した」と感じる。これは一体誰の人生でしょうか。アドラーが推奨するのは、他者の承認ではなく、自己承認を軸にすることです。誰に見られなくても、自分が「これでよかった」と思える基準を持つことが、SNS疲れから解放される出発点です。

これはSNSをやめることとは違います。他人の反応を気にするためではなく、自分が楽しむために使うという、目的の転換です。同じSNSでも、使う目的が変わるだけで、消耗感がなくなっていきます。

2. 「比べる相手」は他人ではなく、昨日の自分だけでいい

SNSを開くたびに、誰かの旅行写真、昇進報告、おしゃれな食事が流れてきます。人は無意識に自分と比較してしまい、それが積み重なって劣等感や焦りを生み出します。これがSNS疲れの中で最も消耗するパターンです。

アドラーはこの劣等感について、興味深い視点を示しています。劣等感そのものは悪ではなく、成長のエンジンになりうるとアドラーは言います。問題は「他者との比較による劣等感」です。他人と比べた劣等感は向上心に変わらず、ただの自己嫌悪で終わります。

アドラーが勧めるのは「縦の比較(他者との優劣比較)」ではなく「横の比較(自分の昨日との比較)」です。インスタで誰かの充実した週末を見て落ち込むのではなく、先週の自分より少しでも前進できたかを問う。この視点のシフトだけで、SNSを見るときの感情がガラリと変わります。

3. 「他人がどう思うか」は、完全に他人の課題である

本書の中でSNS疲れに最も直接的に効くのが「課題の分離」という考え方です。アドラーは「自分の課題と他人の課題を混同することが、すべての人間関係の苦しみの根源だ」と言います。

あなたが投稿した写真に対して、誰かがどう思うか。いいねを押すか押さないか。コメントを書くか書かないか。これらはすべて、相手の判断であり完全に相手の課題です。あなたがコントロールできることは何ひとつありません。

それにもかかわらず、私たちはその「相手の課題」に大量のエネルギーを使って悩んでいます。投稿前に「これ変じゃないかな」と何度も見直し、投稿後に通知を何度も確認し、反応が薄ければその理由を考え続ける。これは言ってみれば、自分ではコントロールできないことにエネルギーを全力で注いでいる状態です。

課題の分離を実践すると、「自分にできること」と「できないこと」の境界線がはっきりします。自分にできることは、正直に、自分らしく発信することまでです。それに対して相手がどう反応するかは、相手に委ねる。この割り切りができた瞬間から、SNSは消耗するツールではなく、楽しめるツールに変わります。

豆知識:アドラーは「自己啓発の父」と呼ばれている

アルフレッド・アドラー(1870年〜1937年)はフロイト・ユングと並ぶ心理学の三大巨頭の一人で、「自己啓発の父」とも呼ばれています。世界的ベストセラー「7つの習慣」のコヴィー博士や「人を動かす」のカーネギーも、アドラーの思想から多大な影響を受けたとされています。100年以上前に提唱された「承認欲求の罠」や「課題の分離」といった概念が、SNSという現代のツールによって引き起こされる悩みにそのまま当てはまることは、アドラーの洞察の深さを示しています。

「嫌われる勇気」との違い、どちらを先に読むべきか

アドラー入門書として圧倒的な知名度を誇る「嫌われる勇気」と本書を比べると、本書のほうが圧倒的に読みやすいです。「嫌われる勇気」は哲学的な対話形式で読み物としての完成度が高い反面、読み切るのにある程度まとまった時間と集中力が必要です。

一方、本書は見開き1ページで完結する名言集形式なので、SNSを見るくらいの隙間時間で読めます。皮肉なことですが、SNSを見る時間を本書を読む時間に少しだけ置き換えるだけで、SNS疲れから抜け出すヒントが次々と得られます。まずこの本でアドラーの世界観に慣れてから「嫌われる勇気」を読む流れが、最もスムーズに理解が深まるルートです。

読んでいて正直に感じた「難しさ」

読んで戸惑った点にも触れておきます。
アドラーの「承認欲求を捨てろ」という言葉は、頭ではわかっても実践が難しいです。人間は社会的な生き物であり、他者の反応を気にするのは本能的な部分もあります。アドラーの言葉を「そうはいっても現実は…」と感じる場面も当然出てきます。

また、アドラーの自己責任論は前向きな人には力強い後押しになりますが、すでに精神的に追い詰められているときに読むと「すべて自分のせい」と追い詰められてしまう可能性もゼロではありません。SNS疲れで消耗しているときではなく、少し気持ちに余裕があるタイミングで手に取るのがおすすめです。

明日から使える3つの実践アクション

アクション1:投稿前に「誰のために投稿するか」を一秒だけ考える
「誰かに見せるため」ではなく「自分が記録したいから」という理由で投稿できるかどうか。その基準を持つだけで、投稿後の反応に一喜一憂する頻度が大きく減ります。

アクション2:他人の投稿を見て落ち込んだら「これは誰の課題か」と問う
羨ましいと感じた瞬間に「相手がどう生きるかは相手の課題。自分は今日の自分より前進できたか」とだけ自問する。比較の軸を他者から自分の昨日に切り替える練習です。

アクション3:週に一日、通知をオフにする日を作る
アドラーの言葉を読んだ上で、物理的にSNSから距離を置く日を設ける。「何か反応があったらどうしよう」という不安を課題の分離で手放すと、その一日がどれだけ穏やかかを体感できます。

アドラー心理学の総評

SNS疲れの根本原因は、スマホでもアプリでもなく、他者の評価を人生の軸においてしまっているという心の構造にあります。アドラーはその構造を100年以上前に見抜き、そこから抜け出すための思想を体系化していました。

本書はその思想を、忙しい現代人でも読める名言集の形で届けてくれます。見開き1ページという構成は、SNSの短いコンテンツに慣れた世代にもフィットしやすい形式です。

「いいね」の数で自分の価値を測ることに疲れた人、他人の充実した投稿を見るたびに落ち込む人、SNSをやめたいのにやめられない人に、強くおすすめします。この本を読み終えたとき、スマホを開く回数は変わらないかもしれません。しかしそのときの自分の感情は、きっと今とは違っているはずです。

アドラーが伝えたかったのはシンプルで、あなたの人生は他人の「いいね」によって決まるものではない。そのことに気づいた瞬間から、SNSとの付き合い方は自由に選べるようになります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました