SBI岡三アセットマネジメントが運用する「中小型成長株オープン(愛称:スモール・モンスターズ・ジャパン)」の2026年2月27日時点の月次レポートをもとに、このファンドの実力と今後の注目ポイントを分かりやすく解説します。
日本の株式市場では2026年に入り、大型株から中小型株へと物色の流れが変わりつつあると専門家の間でも注目されています。
スモール・モンスターズ・ジャパンとは
「スモール・モンスターズ・ジャパン」は、2014年3月10日に設定された国内株式型のアクティブファンドです。運用会社はSBI岡三アセットマネジメント株式会社で、信託財産の保管・管理は三井住友信託銀行が担っています。
このファンドの最大の特徴は、日本国内の中小型株・新興市場株の中から「将来大きく化ける銘柄」を厳選して投資する点にあります。単に時価総額が小さい会社に広く投資するのではなく、高い技術力、優れた商品開発力、特徴あるビジネスモデル、事業構造の改革といった観点で選びぬかれた銘柄だけをポートフォリオに組み入れます。まさに「将来の怪物(モンスター)候補」を発掘するファンドといえるでしょう。
ファンドの基本情報:
設定日は2014年3月10日で、償還日は2029年3月2日です。決算は年2回(3月4日と9月4日)に行われます。購入時手数料はゼロ円で、信託報酬は年率0.935%(税抜0.85%)となっています。参考指数はTOPIX Small(配当込み)で、インデックスを上回ることを目指して運用されるアクティブ型ファンドです。
2026年2月の運用実績 – 驚異の数字を読み解く
2026年2月27日時点の最新データを見てみましょう。基準価額は1万口あたり59,508円に達しており、純資産総額は15.0億円となっています。
特に注目すべきは騰落率の数字です。下の表で確認してみましょう。
| 期間 | 分配金再投資基準価額(当ファンド) | 参考指数(TOPIX Small 配当込み) |
|---|---|---|
| 1ヵ月 | +15.04% | +12.47% |
| 3ヵ月 | +17.95% | +18.51% |
| 6ヵ月 | +36.77% | +29.98% |
| 1年 | +78.84% | +57.22% |
| 3年 | +125.44% | +106.14% |
| 設定来 | +495.08% | +326.38% |
設定来のリターンは+495.08%という驚異的な数字です。これは2014年3月の設定当初に10万円を投資していた場合、2026年2月時点で約59.5万円になっている計算になります。同期間の参考指数(TOPIX Small 配当込み)の騰落率が+326.38%であることを考えると、プロが銘柄を厳選するアクティブ運用の強みが長期間にわたってしっかりと発揮されていることが分かります。
豆知識(騰落率の見方):
「分配金再投資基準価額」とは、分配金が出た際にそれを再投資したと仮定して計算したパフォーマンスの指標です。このファンドは設定来、分配金の支払い実績がゼロのため、基準価額そのものとほぼ同義です。分配金を出さずに運用資産として再投資し続けることで、複利効果を最大限に活かす設計になっています。
2026年2月の市場環境と運用状況
2月の国内株式市場はどう動いたか
2026年2月の国内株式市場は全体として上昇しました。月初から上昇基調で始まった国内株は、衆院選で自民党が圧勝したことを受けてさらに上昇しました。
一方、月中は複数の波乱要因もありました。米国のAI開発新興企業による新技術公開をきっかけに「SaaSの死」という言葉がグローバルに注目を集め、AIに代替される可能性があるとみなされた業種・企業の株が大きく売り込まれました。また、中国が一部の日本企業・団体を輸出禁止リストや監視リストに追加したことも嫌気される場面がありました。
しかし月下旬には、日銀審議委員の人事案を受けてリフレ派の委員が登用されるとの見方が広がり、円安が進行したことで国内株は再び上昇しました。
ファンドが買い付けた銘柄・売却した銘柄
2月のこのファンドの運用では、電力品質向上機器の拡販に伴う利益成長が期待される設備投資関連株や、海外からのライセンス収入の拡大が期待される機械株などを新たに買い付けました。
反対に、収益性の改善が当初想定を下回ると判断した半導体商社株や、主力商品の需要減少リスクを考慮して業績見通しを引き下げた玩具株などは売却しています。
基準価額への影響としては、電子材料株や精密機器株がプラスに貢献した一方、決済サービス株やソフトウェア株がマイナスに影響しました。SaaSの死という議論が市場に波紋を広げた2月らしい結果といえるでしょう。
ポートフォリオの中身を詳しく見てみよう
このファンドが現在どのような銘柄に投資しているかを見てみましょう。組入銘柄数は全部で36銘柄と、厳選された少数精鋭のポートフォリオです。株式の組入比率は純資産の95.6%に達しており、ほぼフルインベストメントの状態で運用されています。
組入上位10銘柄(2026年2月27日時点)
| 順位 | 銘柄名 | 組入比率 | 業種分類 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 扶桑化学工業 | 5.2% | 化学 |
| 2位 | オルガノ | 4.8% | 機械 |
| 3位 | イノテック | 4.4% | 電気機器 |
| 4位 | エクシオグループ | 4.4% | 情報・通信 |
| 5位 | 西華産業 | 4.3% | 卸売業 |
| 6位 | キッツ | 4.3% | 機械 |
| 7位 | 名村造船所 | 3.8% | 輸送用機器 |
| 8位 | 大栄環境 | 3.7% | サービス業 |
| 9位 | アズビル | 3.7% | 精密機器 |
| 10位 | 大阪ソーダ | 3.3% | 化学 |
上位10銘柄の合計比率は約43.9%で、1銘柄あたり約3〜5%程度の比重になっています。特定の銘柄に過度に集中することなく、分散を保ちながらも確信度の高い銘柄には十分な比重をかけるバランスの取れた構成です。
業種別では機械が19.1%で最大比率を占め、次いで電気機器(18.2%)、化学(8.5%)、輸送用機器(8.4%)と続きます。製造業系の技術力の高い企業への投資比率が全体の半数を超えており、「高い技術力を持つ日本の中小型株」というファンドのコンセプトが実際の組入内容に反映されていることが分かります。
注目銘柄ピックアップ(扶桑化学工業):
組入比率トップの扶桑化学工業は、半導体製造に欠かせない高純度コロイダルシリカの国内トップメーカーです。半導体の微細化が進むほどその需要は拡大するため、AI・半導体需要の拡大が追い風になる銘柄として注目されています。中小型株ながら、グローバルなテクノロジートレンドに乗れる銘柄である点がファンドの目利きを感じさせます。
今後の運用方針と市場見通し
ファンドマネージャーは今後の国内株式市場について堅調な展開が続くと予想しています。企業業績などのファンダメンタルズが素直に評価されていく見通しで、衆院選後に高市政権が長期安定政権となる可能性が高まったことも、海外市場と比較した日本株の魅力度向上につながるという見方です。
一方で、相場の勢いが持続する場合にはバブル化の可能性も意識する必要があると注意を促しています。高いバリュエーションが正当化されるかどうかは、高市政権に対する支持率の持続性や、年央に公表される「骨太の方針」「成長戦略」の内容にかかっているという慎重な見方も示されています。
今後の具体的な運用方針としては、現状のポートフォリオを概ね維持しつつ、中期的な成長性に対して株価水準が割安と判断したITサービス株の新規組み入れを検討していくとのことです。これは、2月に大きく売られたソフトウェア・ITサービス関連株の中から、本当に価値ある企業を割安なタイミングで仕込もうという逆張りの視点でもあります。
このファンドはどんな人に向いているか
スモール・モンスターズ・ジャパンは、次のような方に特に向いているファンドといえます。
長期投資を前提にできる方に向いています。中小型株の特性上、短期的な価格変動は大型株よりも大きくなりがちです。しかし設定来約12年で+495%というパフォーマンスが示すように、長期でしっかり保有することで大きなリターンが期待できます。
日本の成長企業を応援したい方にも向いています。このファンドが投資する企業は、技術力や独自のビジネスモデルで成長を目指す日本の中小型企業ばかりです。インデックス投資とは一味違う、「応援投資」の側面も持っています。
インデックスを超えるリターンを求める方にも適しています。参考指数であるTOPIX Smallを長期にわたって上回り続けているこのファンドは、アクティブ運用の価値を体現しています。もちろん過去の実績が将来を保証するわけではありませんが、12年間の実績は一定の信頼材料になるでしょう。
注意点(リスクについて):
このファンドは投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により損失を被る可能性があります。中小型株や新興市場の株式は、株式市場全体の動きに比べて価格変動が大きくなる傾向があります。また、このファンドはNISAの対象外となっている点も確認が必要です。投資の際は必ず交付目論見書の内容を確認し、ご自身の判断で行うようにしてください。


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