ついに映画『オッペンハイマー』を観ました。原爆を生み出した科学者、J・ロバート・オッペンハイマーの苦悩と栄光、そしてその後の政治的弾圧を描いた作品です。
映画を観終わった後、ふと考えたのは「今の日本」と「若者の未来」です。
なぜ80年前の科学者の物語が、現在の日本経済や若者の立場と重なって見えたのか? それを掘り下げていきます。
【オッペンハイマーの苦悩=日本の若者の苦悩?】
オッペンハイマーは、マンハッタン計画を主導し、世界を変える成果を生み出しました。しかし、その後は政治的な圧力にさらされ、社会から排除されていきます。
これを見て、ふと思ったのが今の日本の若者の状況です。
- 頑張って学び、技術を磨いても報われない
- 努力しても評価されず、むしろ既得権益層に押さえつけられる
- 社会を変えるような挑戦をしようとすると、妨害される
オッペンハイマーは原爆を作り、世界を変えました。しかし、その後の冷戦時代に入ると、「危険人物」として扱われ、政府に切り捨てられます。
これは、どこか日本の「失われた30年」と重なります。
【日本の経済低迷と「原爆を作れなかった国」】
映画の中で印象的だったのは、ドイツが原爆開発に失敗し、ナチスが戦争に敗れたこと。
オッペンハイマーたちアメリカの科学者が成功したことで、アメリカは戦後の覇権を握ることになります。
では、日本はどうだったか?
- 戦後はアメリカの技術を学び、経済成長を遂げた
- しかし、バブル崩壊後は30年以上、低迷が続いている
- 半導体、AI、電池技術などで世界に遅れを取っている
『オッペンハイマー』の時代、科学者は国を変える力を持っていました。しかし今の日本では、研究者や技術者が冷遇され、海外に流出していきます。
結果、日本は「原爆(=世界を変える技術)を生み出せない国」になってしまったのではないでしょうか。
【「原爆を作る側」になれない日本の若者】
映画の中でオッペンハイマーは、自分が作った原爆が広島・長崎を壊滅させることを知り、苦悩します。
しかし、同時に彼は「歴史を動かした人間」でもあります。
一方、日本の若者はどうでしょうか?
- 終身雇用が崩れ、不安定な生活
- 賃金が上がらず、将来に希望が持てない
- 挑戦よりも「現状維持」を求められる
オッペンハイマーは、自分の才能を国家のために捧げた結果、世界を変えました。今の日本には、そんな場があるでしょうか?
「次のオッペンハイマー」は、日本では生まれないのかもしれません。
【ナチスとソ連の原爆開発】
マンハッタン計画は、ナチス・ドイツの原爆開発に対抗するために始まりました。
しかし、ドイツのウラン濃縮技術は遅れており、ヒトラーは原爆開発に十分なリソースを割かなかったため、結局ドイツは原爆を完成させることができませんでした。
戦後、アメリカはナチスの科学者たちを「ペーパークリップ作戦」で引き抜き、ロケット技術や核開発に活用。一方、ソ連はドイツに残された研究資料を回収し、独自の原爆開発を急ぎました。
そして、ソ連は1949年に最初の核実験に成功。アメリカとの核開発競争が激化し、冷戦の幕が開きます。
ここで重要なのは、アメリカもソ連も「科学者の力を国家戦略に活用」したことです。
【日本に必要なのは「オッペンハイマーを生む環境」】
日本では、科学技術分野の支援が十分とは言えません。例えば、半導体や全固体電池の開発でも、国家戦略としての一貫性が欠けています。
オッペンハイマーのような天才が活躍できる国こそ、未来を作れる国です。日本は、そんな国であり続けられるのか?
映画を観ながら、そんなことを考えさせられました。