日本の物価は一度の値上げラッシュで終わる段階を過ぎ、賃金や人手不足を起点にした粘りのある上昇へ移りつつあります。
インフレが続くかどうかは輸入品の値上げよりも、国内のコスト構造と政策運営のほうが効く局面です。すぐにインフレは終わってしまうと思っていましたが、年単位で続くことになりそうです。
2026年2月に選挙が予定されている点も踏まえると、政策の組み合わせ次第で物価と円相場の動きが変わり得ます。
2つのインフレが同時に走っている
いま短期で揺れるインフレと、長期で残るインフレが同時に存在しています。
短期で揺れるのはエネルギー支援策や季節要因で、数字が上下します。たとえば補助金の有無や電気ガス料金の扱いで、見かけの上昇率は変わります。
一方で長期で残るのは、人件費とサービス価格が上がるタイプです。こちらは一度上がると戻りにくく、体感としての物価高を作ります。
いまの物価上昇はどこから来ているのか
数字として見える現状
統計上は、エネルギーや食料の影響が大きい時期が続いてきました。ただし先行きは、支援策の入り方によって見かけの伸びが鈍る局面があり得ます。
ここで勘違いが起きやすいのは、数字が一瞬落ちたことをもってインフレ終了だと判断することです。支援策で下がるのは見かけの指数であり、サービス価格や人件費の基調が止まったとは限りません。
賃金と物価の循環ができ始めている
インフレが続く最大の根拠は、賃上げの水準がデフレ期の常識を超えたことです。賃上げは家計の支えになる一方、企業側のコストとして積み上がり、価格へ転嫁されやすくなります。
重要なのは、値上げの主役が「モノ」から「サービス」へ移ることです。外食、理美容、教育、介護、物流など、人手が必要な分野ほど人件費が価格に乗りやすく、一度上がったサービス価格は下がりにくい性質があります。
人手不足は景気に関係なく効く
人手不足は景気が弱っても急には解消しません。採用難が続けば賃金は下がりにくく、価格も下がりにくいです。ここが過去のデフレ局面と決定的に違います。
円安と金利の組み合わせが物価を左右する
輸入物価は円相場に左右されます。仮に国内金利が上がっても、海外との金利差やリスク要因が残れば円高に一直線とは限りません。円安が残ると、食料やエネルギー、原材料のコストが高止まりし、企業の値上げ圧力が続きます。
豆知識 物価の議論でよく出る指数には種類があります。生鮮食品を除く指数は天候要因をならしやすく、さらにエネルギーを除くと国内の賃金やサービスの影響が見えやすくなります。
2026年2月の選挙が物価に効く理由
選挙は景気対策と財政運営の方向を変えるからです。物価への効き方は大きく3つのパターンに分かれます。
- 拡張路線が強まる場合は、需要を押し上げやすい一方で、国債増発懸念から円安と輸入インフレが再燃しやすいです。
- 財政規律を重視する連立や政権になる場合は、金利と円相場が落ち着きやすく、輸入インフレが鈍りやすいです。
- どちらにせよ支援策の設計次第で、見かけの物価は上下し、体感と統計がズレる期間が出ます。
ここでのポイントは、選挙後に「物価が下がるか上がるか」を単純に当てにいくより、「内需の刺激」と「円相場の変動」のどちらが勝つかを見ることです。内需が強ければサービス価格が上がりやすく、円安が強ければ輸入品が上がりやすいです。
インフレが続くかどうか
日本のインフレは今後もしばらく続く可能性が高いです。
理由は、物価上昇の主因が輸入コストの一時要因だけではなく、賃上げと人手不足を背景にしたサービス価格の上昇へ移っているためです。サービス価格は一度上がると下がりにくく、物価全体の下支えになりやすいです。
ただし、上昇率がずっと同じ水準で続くとは限りません。エネルギー支援策の有無や為替の振れで、前年比の数字は年ごとに上下します。見かけの物価が一時的に鈍っても、賃金とサービス価格が伸びている間は、インフレが終わったとは言い切れません。
現実的な見立ては、物価上昇率が2%前後から2%台前半で推移しやすく、景気が弱い局面では一時的に鈍化し、円安や資源高が重なると再加速することになります。


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