クロスキャット(2307)は本当に割安株なのか検証。高ROE中堅SIはどうなのか

株式

クロスキャット(2307)は、クレジットカードや官公庁システムに強い独立系の中堅SI企業です。株価は概ね1,020円前後、予想PERは約10倍台前半、配当利回りは3パーセント台前半と、一見すると「地味だけどお値打ち」に見えます。実際、決算短信を読むと自己資本比率は約65パーセント、ネットキャッシュも厚く、ROEは24パーセントとかなり高い水準です。

一方で、営業キャッシュフローが純利益を下回る年度が続いていたり、PBRは2倍超とバリュー投資家の好む「安値ゾーン」からは外れています。

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クロスキャットはどんな会社か

クロスキャットは、ソフトウェア開発を軸にした情報サービス企業で、東証プライム上場の中堅SIです。主な得意分野はクレジットカードを中心とした金融システム、官公庁や自治体の行政デジタル化、企業のDX支援などです。四季報の説明を要約すると「クレジット向けが柱の中堅SI、官公庁やDXも拡大中」というポジションです。

2025年4月開始の中期経営計画「Growing Value 2026」の2年目を走っており、独立系情報サービス企業としての継続的な企業価値向上と社会貢献を掲げています。SIビジネスに加え、クラウドや生成AI、データ利活用といったDX分野も伸ばしているのが最近の特徴です。

数字で見るクロスキャットの現在地

売上と利益の成長トレンド

まず足元の業績です。2026年3月期第2四半期累計の売上高は8,223百万円で前年同期比2.3パーセント増、営業利益は881百万円で同1.8パーセント増です。親会社株主に帰属する中間純利益は665百万円で同14.1パーセント増となっています。

前期2025年3月期通期ベースでは、売上高16,194百万円、営業利益1,836百万円、純利益1,316百万円という規模で、ここ2期は売上と利益がそろって右肩上がりです。EPSも2023年3月期の約68円から2025年3月期には約93円へ増えており、2年間の年率成長率は約17パーセントとかなり高い水準です。

つまり、急成長とは言わないまでも、安定成長+利益率改善という「筋肉質な伸び方」をしている会社です。

財務の安全性はかなり高い

次にバランスシートです。2025年9月末時点の総資産は9,258百万円、純資産は6,011百万円、自自己資本比率は64.9パーセントと開示されています。現金及び預金は2,906百万円、短期借入金は300百万円、有利子負債はこの短期借入金のみです。

ネットキャッシュはざっくり2,606百万円と見積もれます。これは自己資本の約43パーセントに相当し、実質的にはほぼ無借金の企業と言って良い水準です。有利子負債に頼ったレバレッジ経営とは対極で、景気後退や案件失注があっても、即座に資金繰りが詰まるリスクは低い構造です。

財務安全性だけを見れば「これ以上どこを心配するのか」というレベルです。問題があるとすれば、強すぎる安全志向ゆえに、余剰資金を攻めの投資に使えていない可能性くらいです。

高ROE・2桁営業利益率

収益性の指標も見ておきます。ヤフーファイナンスに掲載されている実績値では、ROEは約24パーセント、自己資本比率は約55パーセント前後と記載されています。

営業利益率は2025年3月期で約11パーセント。2026年3月期第2四半期累計でも売上総利益率は約23.8パーセント、営業利益率は約10.7パーセントと維持されています。

バリュエーションは本当に割安か

現在のPER・PBR・配当利回り

株価指標を整理します。株価は2025年12月上旬時点で約1,020円、時価総額は約170億円台です。会社予想ベースの指標は次の通りです。

  • 予想PER:約10.5倍
  • 実績PBR:約2.3〜2.4倍
  • 予想配当利回り:約3.3パーセント(1株配当34円前後)

ユーザーが整理した実績ベースの数字では、2025年3月期EPSは約93円、株価1,015円前後とすると実績PERは約10.9倍、PSRは約1.2倍強、配当性向は約35パーセントです。

「割安」と見る立場の根拠

クロスキャットを割安と評価する投資家の代表的なロジックは、次のようなものです。

  • ROE24パーセント、ROIC約20パーセント超という高収益企業が、PER10倍台前半に据え置かれている。
  • 実質無借金でネットキャッシュも潤沢、財務リスクは低いのに配当利回り3パーセント台を確保している。
  • 売上とEPSは中期で年率5〜10パーセント程度の成長が見込まれており、この成長率に対してPER10倍台前半は「成長の値付けがほとんど乗っていない」。

この見方に立つと、クロスキャットは「そこそこの成長率を持った高ROE企業が、バリュー寄りの水準で放置されている銘柄」となります。

市場が評価を渋っている理由を考える

なぜここまで数字が良いのに、PER10倍台前半で放置されているのか。主な理由は次の3点です。

理由1 SIビジネスへの割引

クロスキャットの売上の大半は、SI分野の受託開発や保守サービスです。2026年3月期第2四半期累計の売上高8,223百万円のうち、SI分野が7,072百万円、DX分野が1,151百万円と開示されています。

一般論として、受託型SIは人件費と工数に依存するため、景気後退局面で発注が絞られやすく、継続性のあるストック型ビジネスに比べてディスカウントされがちです。クロスキャットもこの「SIディスカウント」を免れていないと考えるべきです。

理由2 DX分野の利益率がまだ低い

DX分野の売上総利益は、前年同期比で2.2パーセント減少しています。クラウド関連サービスの事業拡大に向けた先行投資によって原価率が上昇したと説明されています。

つまり、新しい成長エンジンとして期待されるDX事業は売上こそ増えているものの、利益貢献はまだ十分ではありません。市場は「将来の成長ストーリーはあるが、現時点では利益を食っている」と見て、プレミアムをつけるのを躊躇している可能性があります。

理由3 小型株ゆえの流動性リスク

時価総額は170億円台、1日の出来高は2万株前後と多くありません。機関投資家にとってはポジションの出入りが難しいサイズであり、どうしても個人投資家中心の銘柄になります。その結果、需給の偏りや短期的な売り圧力でPERが伸びづらいという構造的な要因もあります。

クロスキャットは条件付き割安銘柄

クロスキャットは、自己資本比率約65パーセント、ネットキャッシュ体質、高ROE、2桁営業利益率という点で、定量的にはかなり優秀な企業です。一方で、PBRは2倍超であり、営業キャッシュフローが純利益を下回る年度が続いた過去もあるため、「何でも安いお宝株」と言い切るのは危険です。実際に株価も上がるわけでも下がるわけでもなく一定しています。

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