トヨタの「TEEMO」はアウトランダーPHEVオーナーにとって便利か徹底検証

【車】

トヨタが発表した新しい充電サービス「TEEMO(ティーモ)」

bZ4Xなどの新型BEVに合わせてスタートしたこの仕組みは、トヨタ独自の充電ネットワークとして注目を集めています。

しかし、気になるのは「他社のPHEVでも使えるのか?」という点。特に、三菱アウトランダーPHEVのオーナーにとっては、旅先や帰宅途中の“充電インフラ”は生活の一部でもあります。

ここでは、TEEMO公式情報をもとに、利用範囲・料金・制約を冷静に分析し、アウトランダーオーナーの立場から「実際どうなのか?」を考えます。

TEEMOとは何か

TEEMOは、トヨタが自社EV・PHEVユーザー向けに展開する新しい充電サービスです。特徴は次の通りです。

  • トヨタ/レクサス店舗に設置される「TEEMO充電器」で利用可能
  • アプリで空き状況や場所を確認できる
  • 急速充電・普通充電を分単位で課金
  • 新車購入者には「月2回×30分」まで無料特典(1年間)

ネットワーク構想としては全国25,000口を目標としていますが、そのうち実際にトヨタ直営のTEEMO充電器は数百か所レベル。大半はe-Mobility Power(以下eMP)という既存ネットワークとの連携によって成立しています。

豆知識: eMPとは、全国の商業施設・道の駅・高速SAなどに設置された充電網で、日産やホンダ、イオンモールなども参加している巨大ネットワークです。

会員制度の違い:トヨタ車と他社車で天と地の差

TEEMOには2種類の会員区分があります。

① TEEMO会員(トヨタの新型BEV/PHEV所有者)

  • TEEMO充電器+eMP連携充電器が利用可能
  • 充電カード(FeliCaカード)発行可
  • アプリで60分先まで予約が可能
  • 料金:〜50kW=40円/分、50〜150kW=60円/分、150kW以上=80円/分

② TEEMO Lite会員(他社EV・PHEVユーザー)

  • 利用できるのはTEEMO充電器のみ
  • eMP連携充電器は非対応
  • カード発行不可・予約不可
  • 料金:〜50kW=50円/分、50〜150kW=75円/分、150kW以上=100円/分

つまり、アウトランダーPHEVはTEEMO Lite会員しか選べません。
この時点で、利用可能範囲・利便性・料金のすべてでハンディがあります。

実際に使える場所は?

TEEMO Lite会員が利用できるのはトヨタ/レクサス系列店舗に設置されたTEEMO充電器のみです。
eMP連携拠点(ショッピングモールや高速PAなど)では利用できません。したがって、実際に充電できる場所はかなり限定的です。

埼玉県を例に取ると、現時点でTEEMO対応として確認できるのは以下のような店舗群です。

  • レクサス浦和(CHAdeMO 50kW)
  • レクサス川越(CHAdeMO 50kW)
  • 埼玉トヨタ志木富士見店
  • カローラ埼玉MC川口店

地図上で見ると、都市部には点在していますが、郊外に行くとまだまばらです。
eMPが使えない以上、「トヨタディーラー圏内でしか充電できない」という感覚に近いです。

アウトランダーPHEVとの相性

アウトランダーPHEVはCHAdeMO規格の急速充電に対応しています。最大受入電力はおおむね50kWで、30〜40分の充電で80%まで到達する仕様です。

このため、TEEMOで利用できる「〜50kW帯(50円/分)」が最も現実的な選択肢となります。

ただし、TEEMO充電器の多くは営業店舗内にあるため、営業時間外に使えないケースもあります。夜間充電が多い人にとってはやや不便でしょう。

コスト比較シミュレーション

項目 TEEMO Lite e-Mobility Power(eMP)
月額基本料 0円 4,180円
急速充電料金 50円/分(〜50kW) 27.5円/分
1回30分のコスト 1,500円 825円
お得になる回数 ~6回/月 7回/月以上でeMPの方が安い

つまり、月に数回の充電ならTEEMO Liteでもいいのですが、週2回以上急速充電を使うなら、eMP会員の方がコスパは明確に上回ります。

メリットとデメリット

◎メリット

  • 登録無料で気軽に使える
  • トヨタ系店舗なら充電器の保守品質が高い
  • アプリで検索・決済が完結

×デメリット

  • 利用できる充電器が極めて限られる(eMP非対応)
  • 予約不可・カード発行不可で利便性が低い
  • 50kW以上の充電器は単価が高い(75〜100円/分)
  • 夜間営業外は使えない店舗が多い

注意: TEEMO充電器は営業店舗に併設されるため、利用時間が「9時〜19時」などに限定されている場合が多い。旅行中の夜間充電には不向きです。

アウトランダーオーナーは「TEEMO+eMP併用」が現実的

まとめると、アウトランダーPHEVユーザーがTEEMOを利用する場合、現行仕様では以下のような整理になります。

  • 登録は可能(TEEMO Lite会員)だが、使えるのはトヨタ系列拠点のTEEMO充電器のみ
  • eMP連携充電器や高速SAの充電器は使えない
  • 料金は高め(50円/分)で、予約機能もなし
  • 営業店舗依存のため、夜間・休日は使いにくい

したがって、普段使いの充電には自宅またはeMPを活用し、TEEMOは「補助的なサブ手段」として登録だけしておくのが現実的です。

トヨタの囲い込み戦略をどう見るか

TEEMOは、トヨタがEV市場に本格参入するための自社エコシステム構築の第一歩です。
しかし、現時点では「トヨタ車中心のクローズド環境」にとどまっており、他社オーナーから見ると利便性は限定的です。
一方で、ディーラー充電の品質・保守性は高く、信頼性を求めるユーザーには魅力もあります。

今後、トヨタがeMP以外のインフラとも提携を拡大し、Lite会員の利用制限を緩和すれば、他社EV/PHEVユーザーにとっても第二の選択肢になり得ます。現状では「限定的だが、将来性はある」という評価が妥当でしょう。

アウトランダーPHEVオーナーにとっての結論は、TEEMOは「登録だけしておく補助的充電手段」でした。メイン充電は依然としてeMPネットワークや家庭充電が中心になります。

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