2025年12月現在、パソコン用メモリやSSDの価格が短期間で急騰しています。専門的な半導体用語を並べても実感は湧きませんので、パン屋やお寿司屋の例えを使い、初心者の方にも構造が理解できるように整理します。
すでに、一般向けメモリ価格は約2.8倍〜3.3倍に上昇しています。これは一時的な品薄ではなく、市場構造の変化です。
1. なぜこんなに高いのか。AIという大富豪の爆買い
現在起きているのは、単なる需要増ではありません。メモリ市場の主役が一般消費者からAI企業へ移ったことが本質です。
パン屋の例えで説明します。
- 以前: パン屋は100円の食パンを大量に焼き、街の住民に売っていました。
- 現在: AI企業という大富豪が現れ、1個500円で高級クロワッサンを全部買うし、最低でも年1,000個買うと言い出しました。
- 結果: パン屋は利益率の高いクロワッサン作りに集中し、食パンの生産を減らしました。
半導体の世界でも同じことが起きています。サーバー向けメモリは、一般PC向けよりも利益率が60〜75%とされ、メーカーにとって圧倒的に魅力的です。その結果、PC向けDDR5の供給は後回しになりました。
実データとして、一般的なDDR5 32GBキットは2025年10月上旬に約12,700円でしたが、12月には約41,800円となり、約3.3倍に上昇しています。
補足: サーバー向け需要の急増は、生成AIの学習・推論用データセンター投資が原因です。これはTrendForce(DRAMeXchange)の2025年Q4レポートでも確認されています。
2. メモリは時価商品になった。寿司屋化するPCショップ
この構造変化が生んだ現象が、メモリ価格の時価化です。
- 以前: スーパーのように、常に同じ値札で販売。
- 現在: 高級寿司店のように、その日の仕入れで価格が変動。
実際、2025年11月から12月の1か月で、多くの製品が2.3倍〜2.8倍値上がりしました。海外ショップでは値札を外し「店員に確認」とする例も報告されています。
メーカーが市場在庫を買い戻しているという話もあり、メモリが部品ではなく資産として扱われ始めている兆候です。
3. なぜ2027年まで落ち着かないのか
価格が高くなったなら、半導体工場が増産すれば解決すればいいのではないか、という直感は正しくありません。理由は2つあります。
固定契約という壁
メーカーはAI企業と年単位の供給契約を結んでいます。これは途中で変更できません。パン屋が1年間クロワッサン1,000個を納品する契約を結んでいる状態と同じです。
工場改装という時間制約
現在、主要メーカーは1γプロセスへの移行を進めています。これは工場の改装工事に相当し、その間は生産能力が低下します。フル稼働までには年単位の時間が必要です。
この2点から、2026年中の大幅な値下がりは見込みにくく、2027年以降に調整されるという見方が主流です。
4. 結論は今すぐ買う
2026年中は値下がりは期待できず、パソコやノートパソコンが必要なら今すぐ買う、というのが正解の行動となります。
- 待っても安くならない可能性が高い。
- SSDも連動して約1.5倍に上昇。
- 後から増設できないノートPCが増加。
購入時は32GBや64GBなど、余裕を持った容量を選ぶことが結果的に支出を抑えます。
メモリ高騰にどうすべきか
今回のメモリ高騰は、AIという新しい王が資源を独占し始めた歴史的転換点です。短期間で3倍近く価格が動く状況では、従来の「待てば安くなる」という常識は通用しません。
迷っているうちに価格が跳ね上がっていくので、必要な人は早めの購入がおすすめです。


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