関税や株価下落ではない本質とは。レイ・ダリオが語る「本当に起きていること」

raydalio 暇つぶし

2025年現在、関税や貿易摩擦のニュースが毎日のように流れています。特にアメリカのトランプ前大統領による関税政策は市場や経済に大きな影響を与えており、人々の注目を集めています。しかし、著名な投資家であるレイ・ダリオ氏は「関税は表面的な現象に過ぎない」と警告しています。

本記事では、ダリオ氏が4月8日に投稿した長文メッセージの内容を日本語に訳しつつ、初心者にもわかりやすくその背景と主張を解説していきます。

関税は「結果」にすぎない

まず、ダリオ氏はこう述べています。

「現在、関税の発表とその市場や経済への影響に多くの注目が集まっています。しかし、なぜその関税が課されたのか、そして今後やってくるであろうもっと大きな混乱には、ほとんど注目が集まっていません。」

つまり、関税は「結果」であり、真に注目すべきはその「原因」と「背後の構造的な力」だというのです。

現在の世界を動かす5つの大きな力

ダリオ氏は、世界が直面している大きな変化には以下の5つの力が関係していると述べています。

  1. 金融・経済秩序の崩壊
  2. 国内政治の分裂
  3. 国際的な地政学秩序の変化
  4. 自然災害やパンデミックなどの自然の力
  5. AIなどの技術革新

これらが相互に影響し合い、「歴史的な周期=ビッグサイクル」の転換期にあると彼は言います。

金融秩序の崩壊:借金に依存した世界

世界経済は、過剰な債務に依存して成り立っています。

債務者 問題点
アメリカ 過剰な借金と浪費による依存体質
中国 アメリカへの輸出に依存し、過剰な米国債保有

この構造は、「信用できない相手に依存する矛盾」と「脱グローバル化の波」によって崩壊し始めています。

国内政治の崩壊:右派と左派の対立

アメリカなどの民主主義国では、格差の拡大が政治の分断を招いています。教育、所得、価値観の差が拡大し、右派と左派の「勝つためなら何でもあり」の闘争が激化。結果として民主主義の基本である「妥協」と「法の支配」が崩れつつあります。

このような状況では、歴史的に強権的リーダーが現れやすくなります。これもまた「ビッグサイクル」の一部です。

国際秩序の崩壊:「アメリカ一強」の終焉

冷戦後の「アメリカ中心の国際秩序」は終わりを迎えつつあります。アメリカは「協調」から「一国主義=アメリカ・ファースト」へとシフトし、貿易戦争・技術戦争・地政学的対立が激化しています。

現代の戦争の種類

  • 貿易戦争(関税の応酬)
  • 技術戦争(半導体・AIなど)
  • 情報戦争(SNS・世論操作)
  • 軍事衝突(台湾・南シナ海など)

自然の力と技術革新

気候変動、パンデミックなどの自然災害も世界に大きな影響を与えています。また、AIやブロックチェーンのような急激な技術進歩も、経済や政治に劇的な変化をもたらします。

関税に気を取られず、全体像を見よ

最後に、ダリオ氏はこう強く警告しています。

「関税のようなセンセーショナルなニュースに気を取られてはいけない。本当に注目すべきは、それらを引き起こす構造的な力の変化である。」

特に、トランプ氏の関税政策が以下の点にどう影響するかを考えるべきだと述べています。

  • 金融市場や経済秩序:混乱と不安定化
  • 国内政治:支持基盤の崩壊とさらなる対立
  • 国際秩序:対立と信頼の喪失
  • 気候問題:協力体制の弱体化
  • 技術開発:市場の混乱による支障と一部恩恵

歴史は繰り返す:過去から学べ

こうした混乱は「初めて」ではありません。過去にも同様の周期があり、

  • 債務危機 → 不況
  • 政治分裂 → 内戦
  • 国際対立 → 世界大戦

といった歴史的パターンを繰り返してきました。だからこそ、ダリオ氏は「歴史を学べ」と言います。過去の政策や失敗から、次に起こり得ることを予測し、備えることができるからです。

ビッグサイクルを見極めよう

今、私たちが目の前で見ているのは「歴史の繰り返し」の一幕です。ニュースの見出しに踊らされるのではなく、その背後にある「構造的な力」や「歴史的な周期=ビッグサイクル」を理解することこそが、真に重要だとレイ・ダリオ氏は訴えています。

彼の著書『Principles for Dealing with the Changing World Order』では、これらのサイクルが6つの段階に分けて詳細に説明されています。

Amazonで4,400円、日本語訳されています。100年周期の国家繁栄と衰退がわかります。

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