名探偵津田第4話 電気じかけの罠と100年の祈り を見て思ったこと

暇つぶし

見終わって最初に出た感想は、バラエティの皮をかぶっているのに、やっていることは視聴者を巻き込む推理ゲームだな、でした。しかも盤面がやたら豪華で、仕掛けがいちいち細かい。笑わせに来ているのに、笑った直後に不穏な気配を差し込んでくるので、気持ちが落ち着く暇がないのです。

私は普段、ミステリーに入り込めるかどうかは主人公の体力と根性で決まると思っています。そういう意味で名探偵津田は、事件解決の能力よりも、巻き込まれ体質と耐久力のほうが主役級です。今回も、無理やり物語の中心に立たされ、しかも時間まで飛ばされる。ここまで乱暴なのに成立しているのが、この企画の怖さだと思いました。

なお、細部に触れるので軽いネタバレがあります。

この回の骨格がまずズルい

第4話は、水曜日のダウンタウンの中の人気企画として放送されています。番組ページの説明でも、犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せない形式だと明記されています。つまり、本人は降りたくても降りられないレールに最初から固定されている。見ている側は安心して、津田が詰められていく様子を楽しめてしまう。ここがまずズルいです。

さらに導入が電気イスゲームです。収録中に劇団ひとりが突然死亡という導火線に火がつく。日常のバラエティ収録から、異常なドラマ空間へ急転換するスイッチとして、電気という題材が強すぎました。電気は見えないのに、誰でも怖がれる。説明がいらない恐怖を使えるのは、ミステリーとして反則気味だと思います。

電気じかけの罠が良かったところ

私が面白いと感じたのは、電気が単なるタイトル回収ではなく、視聴者の思考を誘導する装置として働いていた点です。見えない電気を前にすると、人は勝手にルールを作りたくなる。ここに座ったら危ないのではないか。順番に意味があるのではないか。数字が伏線なのではないか。勝手に自分の頭が働くのです。

実際、この回はSNS上での考察が盛り上がっていました。電気イスが12まであることから時計に見立てた読みや、倒れた体勢の解釈など、視聴者側が推理の参加者になっていく流れが生まれていました。私はこれを見て、番組の面白さが放送枠の中だけで完結していないことに気づきました。視聴者の脳内とSNSまで含めて、企画が完成している感じがします。

  • 怖さの入口が誰でも理解できる電気で、説明コストがほぼゼロでした。
  • 数字や配置が意味ありげに見える設計で、視聴者が勝手に推理を始めます。
  • 津田が理屈でなく感情で動くので、推理の正しさより展開の勢いが勝ちます。

100年の祈りが効いていたところ

この回のもう1本の柱が100年です。番組説明でも、手がかりを追って100年前にタイムスリップし、捜査が大詰めに向かうとされています。ここが上手いのは、推理物のはずなのに、急に歴史と家系の気配が濃くなる点です。

私はこの手の設定を見ると、物語が壮大になったふりをして話が散らかるのでは、と警戒します。ですが今回は、100年という時間が、恋慕や怨念のような粘着質な感情を正当化する装置になっていました。人間の気持ちは、合理性で片付かない。だからこそ100年続く。そう思わせるだけで、ミステリーが一段しつこくなる。そこが良かったです。

個人的に刺さったのは、津田が名探偵として格好よく振る舞うほど、逆に悲惨さが増すところです。彼はドラマの主人公をやらされているだけなのに、周囲は勝手に物語を背負わせる。視聴者はそれを見て笑うのに、同時に少しだけ申し訳なくなる。この気持ちの二重構造が、この企画の中毒性だと思います。

100年の「祈り」の部分は、きちんと感動さえありましたね。

私が笑ったのに不安になった瞬間

今回、笑いと不安の切り替えが速いです。私は見ながら何度か、今笑っていいのかを確認するような気分になりました。ホラーではないのに、見えない電気という題材があるだけで、人の身体反応が先に出る。そこに津田の素のリアクションが乗るので、画面の温度が上がりすぎる瞬間があるのです。

見たあとに残ったのはミステリーより人間観察

結局、私が一番面白かったのは犯人当てそのものより、人が追い詰められたときの振る舞いでした。津田が名探偵らしく振る舞おうとするほど、無理が出る。その無理が出るたびに、周囲のキャラクターや状況が彼に物語を押し付けてくる。ここに、人間関係の縮図があります。

さらに、この企画は制作側が視聴者の反応も織り込んでいるように見えます。SNSで考察が回ることまで含めて、エンタメの新しい形だという指摘もありました。私としては、視聴者の時間をここまで吸い上げる設計は怖いとも思います。面白いから追うのに、追うほど参加させられる。気づくと、作品ではなく仕組みの中にいる感じがします。

だからこそ、この回は見終わったあとに、ただの感想で終わらせにくい。次に同じような仕掛けを見たとき、自分がどこまで乗せられているかを自覚できるか。そういう意味で、笑いながら少し賢くなる回でした。

2回目を見るなら・・・

もしこれから見るなら、推理の正解探しより、制作側の誘導のしかたを観察すると面白いです。どの瞬間に不安を入れるか。どの瞬間に笑いへ逃がすか。津田が自分のペースを取り戻しそうになると、どうやって崩すか。そこが見えると、2回目がさらに味がします。

  • 電気という見えない恐怖が、視聴者の推理スイッチを押す瞬間を探します。
  • 100年という時間が、感情を正当化する道具として使われる場面を意識します。
  • 津田のリアクションが演技か素かではなく、どこで限界が来るかを見ます。

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