日経平均が最高値から約13%下落、イラン戦争が株価を揺さぶる終わりを過去の統計から予測

株式

あと少しで6万円台だった2026年2月下旬。しかし、わずか数週間で一変しました。

2026年3月23日現在、日経平均株価はイラン情勢の緊迫化によって大幅な続落を続けており、一時は約3カ月ぶりに5万1000円の節目も割り込む事態となっています。最高値からの下落率は約13%。

この下落はいつ終わるのか戦争が長引けばどこまで落ちるのか、投資家の不安は募るばかりです。4週間ほど経ったので、この辺で一度整理をします。

2026年2月26日に記録した年初来高値と、その後の急落

2026年2月26日、日経平均株価はザラ場(取引時間中)で59,332円43銭という年初来高値を記録しました。この水準はNVIDIAの好決算を追い風にした半導体株の上昇や、日本企業の好業績期待が重なり実現したものです。終値ベースでも58,753円と史上最高値水準を更新し、市場ではついに6万円台が現実になるとの声が盛んに聞かれていました。

ところが、その熱狂からわずか2日後の2月28日、状況は一変します。アメリカとイスラエルがイランへの軍事作戦を開始。翌3月1日にはイランの最高指導者・ハメネイ氏の死亡が伝わり、一時は早期終結の楽観論も流れました。しかし現実は甘くなく、イランは徹底抗戦の姿勢を崩さず、ホルムズ海峡の封鎖リスクが浮上。原油先物価格は1バレル100ドルを突破し、株式市場に強烈な売り圧力がかかり始めました。

3月9日には日経平均が一時4,100円超という歴史的な急落を記録(終値ベースでも約2,900円安)。その後も戻り売りが続き、3月23日には再び一時2,600円超の下落を記録し、午前終値は51,582円まで水準を切り下げました。

日付 終値(概算) 主なできごと
2026年2月26日 58,753円(ザラ場高値59,332円) 年初来高値・史上最高値水準更新
2026年2月28日 急落開始 米・イスラエルがイランへ軍事作戦開始
2026年3月9日 約54,600円台 一時4,100円超の歴史的急落(終値2,900円安)
2026年3月16〜19日 53,372円 週足で447円安、4週連続下落継続
2026年3月23日(本日) 51,582円(午前終値) 原油100ドル突破、一時5万1000円割れ

最高値からの下落率は約13%!これは大暴落なのか

2026年2月26日のザラ場高値59,332円を基準に計算すると、3月23日の午前終値51,582円との差は約7,750円。下落率にして約13%に達します。

13%という数字を聞いて大したことないと感じる人もいるかもしれません。しかし株式市場では、一般的に10%以上の下落は調整局面、20%以上は弱気相場(ベア・マーケット)入りと定義されることが多く、現在はちょうどその境界線を歩いている状態です。

豆知識: 相場の下落の定義とは?

株式市場では、高値からの下落幅によって呼び方が変わります。5〜10%程度の下落はプチ調整、10〜20%は調整局面、20%以上は弱気相場(ベア・マーケット)と呼ばれます。現在の日経平均は13%前後の下落で、本格的な弱気相場と一時的な調整の分岐点に立っています。さらに2025年4月7日には30,792円という年初来安値もあったことから、長期的な下値リスクには注意が必要です。

また、週足ベースでも複数週にわたる連続下落が続いており、米国市場ではNYダウが4週連続安となるなど、日本だけでなく世界規模でリスク回避の流れが強まっています。安全資産とされる金や国債までが売られるという、資金の逃げ場を失った総悲観に近い状況も一部で指摘されています。

なぜここまで下がるのか?ホルムズ海峡リスクという核心

今回の急落が通常の調整と異なるのは、下落の原因が景気悪化ではなく地政学リスクにある点です。

日本はエネルギーの約9割を輸入に頼っており、中東産の原油はその大部分を占めます。その中東原油の輸送ルートで最も重要な水路がホルムズ海峡です。この海峡が封鎖されたり輸送が大幅に制限されれば、日本への原油供給は直撃を受けます。

3月21日にはトランプ大統領が48時間以内にイランがホルムズ海峡を開放しなければ発電所を攻撃すると警告。これを受けてWTI原油先物価格は一時1バレル110ドルを突破しました。原油高はそのままインフレに直結し、インフレが続けばFRBは利下げに動けず、株式市場の重石となります。スタグフレーション(景気停滞+インフレ)への警戒が、投資家の売りを加速させている構図です。

豆知識: ホルムズ海峡が封鎖されたら何が起きる?

ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ幅わずか約54kmの細い水路です。世界の石油輸送量の約20%がここを通過しており、世界で最も重要な石油の咽喉部と呼ばれます。日本の場合、中東から来る原油タンカーのほぼすべてがここを通るため、封鎖が長引けばエネルギーコストの急騰→企業収益悪化→株価下落という連鎖が起きます。ただし、イラン自身もホルムズ海峡を利用して石油を輸出しているため、完全かつ長期の封鎖はイラン経済にとっても自滅行為となります。

統計的に見ると反転はいつ頃か

過去に株価へ大きな影響を与えた中東紛争を並べてみると、第四次中東戦争(1973年)、湾岸戦争(1990〜91年)、イラク戦争(2003年〜)などのケースでは、いずれも開戦後1〜2ヶ月前後でひとまずの株価反転が見られました。今回のイラン軍事作戦は2026年2月28日が開始日ですので、統計的なパターンが当てはまれば、3月末から4月にかけてがひとまずの底打ち・反転の目安時期として意識されます。

実際、複数のアナリストがイラン攻撃発生から1ヶ月で反転するパターンに注目と指摘しており、今週がその1ヶ月目に相当します。騰落レシオが過去のパターンで反転サインの水準(90%前後)に近づいているとの見方もあり、テクニカル面でも売られすぎの兆候が出始めています。

過去の戦争・紛争 開始時期 株価反転までの目安
第四次中東戦争(石油ショック) 1973年10月 数ヶ月後に一旦反転(ただし長期低迷)
湾岸戦争 1990年8月 約2ヶ月後に反転
イラク戦争 2003年3月 開戦後1ヶ月前後で反転上昇
ロシア・ウクライナ紛争 2022年2月 約1〜2ヶ月で一旦反転
イラン軍事作戦(今回) 2026年2月28日 3月末〜4月が統計的な反転目安

ただし注意が必要なのは、ひとまずの反転と本格的な上昇相場への回帰は別物だということです。3ヶ月以上の中長期パフォーマンスは戦争の展開次第で大きく開きが出る傾向があり、楽観視は禁物です。

戦争が長引けば、どこまで下がる可能性があるのか

最悪のシナリオを考えておくことも、投資家にとっては大切な備えです。

今回の状況と類似した2022年のロシア・ウクライナ紛争の際、原油高とインフレ警戒によって株価は約16%下落しました。これを今回の最高値59,332円に当てはめると、同水準の下落が起きた場合の目安は49,800円前後となります。すでに一部のアナリストが5万円割れは現実的なシナリオと指摘しており、心理的節目の5万円ラインが今後の最大の関門となりそうです。

一方で、戦争が長期化しても株式市場が持ち直す理由も存在します。防衛・エネルギー・インフラ関連銘柄には戦争特需として資金が流入する面があること、またある程度先行きが見えてくればインフレヘッジとしての株買いが戻ることも歴史が示しています。日本の場合、2月の輸出が前年比4.2%増となるなど企業の基礎体力は依然しっかりしており、景気が悪くて売られているのではなく、地政学リスクで売られているという点は重要なポイントです。

今の局面で投資家はどう考えればいいのか

現時点で強調したいことは、この下落をパニック売りで乗り越えようとするのではなく、原因と出口を冷静に分析することです。

短期的な反転目安として意識されるのは、以下の3つのシナリオです。まず、楽観シナリオは中東情勢がこれ以上悪化せず原油が落ち着いた場合で、日経平均は5万5000円台を試す可能性があります。次に、膠着シナリオは戦争は続くが急激な悪化も避けられるケースで、戻しては売られるレンジ相場が続く展開です。そして、悪化シナリオはホルムズ海峡の封鎖が長期化し、スタグフレーションへの懸念がさらに強まる場合で、5万円割れを覚悟しなければならないシナリオです。

統計的なパターンに基づけば、3月末から4月がひとまずの底打ちを探る時期として注目されます。しかし戦争という性質上、確実な予測は誰にもできません。リスク許容度に応じた資金管理を最優先にしながら、原油価格の動向とホルムズ海峡をめぐる外交交渉の行方を注視することが、今の局面では最も重要な戦略といえるでしょう。

投資判断に役立つ!今注目すべき3つの指標

1. WTI原油先物価格:100ドルを下回れば市場心理が改善しやすくなります。逆に110ドルを超えると一段安の警戒が必要です。2. 東証プライム騰落レシオ:80%を下回ると売られすぎサインとされており、反転の目安として活用できます。3. ドル円相場:円安が進みすぎると輸入インフレ懸念が強まる一方、輸出企業には追い風となります。現在は159円台で、政府・日銀の介入への警戒水準として意識されています。

2026年の日本株は最高値更新の熱狂と地政学リスクによる急落という、まるでジェットコースターのような相場を経験しています。

しかし歴史を振り返れば、地政学リスクによる急落は多くの場合一時的な嵐として通過してきました。今後もこのブログでは最新の市場動向をわかりやすくお届けしていきますので、ぜひまた見に来てください。

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