星野源さんの掲示板プロモーションは本当に“ズルい”のか?

hoshinogen 暇つぶし

星野源の新アルバム『Gen』のリリースに合わせて行われたプロモーションで、地域の掲示板に「手作り風」のポスターが貼られたことが話題になっています。

星野源の手作り風ポスターにモヤるのは、「自治体の掲示板」を使ったことと「プロの広告屋が素人風デザインを面白がって作った」ことで嫌なイジりを感じたせい?
星野源さんが約6年半ぶりのオリジナルアルバム『Gen』をリリースしたことを知らせるために、地域の掲示板に告知ポスターを貼らせていただきました。 #まちのGenポスター 【掲載場所】 ①東京都品川区 戸越銀座商店街「ほっとすぽっと」入り口 ②...

星野源さんの新しいアルバム『Gen』の発売に合わせて、地域の掲示板に「手作り風」のポスターを貼るというユニークなプロモーションが行われました。

その見た目や掲示方法について、「ちょっと嫌な感じがする」「素人の努力を茶化しているように見える」といった声が一部で上がっています。ただ、そのような印象を私は感じませんでした。

掲示板って、誰でも使えるスペースなのです

まず前提として知っておきたいのは、今回使われた掲示板は「自治体の公共掲示板」といっても、地域住民が自由に利用できる案内スペースであるという点です。商用利用を全面的に禁止しているわけではなく、実際には地域のイベントや教室の案内などが日常的に貼られているような場所です。

たとえば、連絡先を明記していれば無料で使える掲示板も少なくありません。その意味では、掲示そのものが特別にルール違反というわけではなく、必要な手続きを踏んでいれば問題ないといえるのです。「企業だからズルい」といった視点で批判することは、かえって表現の公平性を損ねることにもつながりかねません。

手作り感のあるデザインは本当に“からかい”なのでしょうか

次に、ポスターのデザインについて「Wordで作ったみたいな素人っぽさをプロが真似するなんて、ちょっと嫌味に感じる」といった声も見られました。しかし、それはやや表面的な受け止め方かもしれません。

この「チープ風」デザインは、むしろ地域の掲示板に見られる温かみや人の気配を再現した、親しみのあるオマージュと考えることもできます。

どこかで見かけたことのあるような、誰かの想いが込められた貼り紙。それをプロが丁寧に再現することで、生活の中に自然と作品を届けるような試みだったのではないでしょうか。

「モヤモヤ」の正体は、感情が先走っているのかもしれません

興味深いのは、多くの批判が「なんとなくモヤっとする」「バカにされている気がする」といった感覚的なものにとどまっていることです。その違和感の正体が具体的に語られることは少なく、どこか印象論に寄ってしまっています。

本来、デザインというものは模倣や引用を通して進化していくものであり、「この人たちだけが使っていいデザイン」という制限を設けるのは、創作の幅を狭めてしまいます。

誰かの世界観を借りて新たな表現をつくり出すという姿勢は、むしろクリエイティブの基本に近いものです。

星野源さんの表現は、いつも暮らしに寄り添っています

星野源さんの活動を振り返ってみると、特別な人たちに向けたものというよりは、いつも「街に暮らす誰か」に寄り添った表現をされてきました。

今回の掲示も、派手な広告ではなく、日常にそっと馴染むような方法を選ばれたことに、やさしさや意図が感じられます。

一部の人が「大きな資本の力で目立とうとしている」と捉えたとしても、それは星野さんご本人の意図からは少しズレた受け止め方なのかもしれません。プロモーションの方法だけを切り取って批判するのではなく、その背景にあるメッセージや想いにも目を向けてみたいところです。

広告と生活のあいだにある、やさしい接点

最終的に、このポスターを「嫌なイジり」と感じるか、「親しみのある表現」と見るかは、それぞれの立場や感性によるものかもしれません。ただ、掲示板のルールにも、デザインの倫理にも反していない表現に対して、あたかも何か悪意があるかのように語ることには、少し慎重になる必要があるように思います。

むしろ今回の試みは私は、「広告ってもっと生活の中に寄り添うものでもいいのでは?」と問いかけてくれているようにも感じました。

街角でふと目にする、どこか懐かしいポスターに込められた表現の可能性。その奥ゆかしさや、思いのあり方に気づくことができたなら、このプロモーションは大成功だったといえると思います。

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