自民単独過半数で、株高のカンフル剤と金利の副作用で市況を考える

暇つぶし

2026年2月の衆院選で自民党が単独過半数を確保し、高市政権またはその路線を継承する政権が信任を得るシナリオでどうなるかを考えています。

短期では政治不安が薄れ、日本買いが入りやすい一方、積極財政への期待が国債需給と長期金利を揺らし、円の信認にまで波及し得ます。

今回の衆院選は何が市場テーマになっているか

足元では衆院選の投開票が2026年2月8日、序中盤の情勢として自民の大勝を見込む報道も出ています。選挙は結果そのものより、結果が金利と為替にどう伝わるかが株価の方向性を決めます。

つまり、株だけ見ていると判断が遅れます。債券と為替の変化が先に来て、その後に株がついていく場面が増えます。

2026年2月に市場を動かす3つの波及レイヤー

選挙結果は単一の株価指数だけに効くのではなく、政治から金利、金利から通貨へと連鎖し、その連鎖が最後に株の勝ち負けを決めます。

レイヤー 核心テーマ 波及のメカニズム 株への典型的な効き方
第1層 政治と期待 政権基盤の安定 政治空白が薄れ、短期資金が日本株に入りやすくなる ご祝儀的に指数と大型株が上がりやすい
第2層 財政と金利 責任ある積極財政の評価 減税や歳出拡大への期待が国債増発懸念に直結し、超長期金利が動く 銀行保険は追い風、高PER銘柄は逆風になりやすい
第3層 通貨と信認 円の価値の変容 内外金利差に加え、財政プレミアムが意識されると円の変動が荒くなる 良い円安は輸出株に追い風だが、悪い円安は株そのものの売りにつながる

投資家が注視すべき4つの核心指標

指標を単独で見るのではなく、連動しているかどうかを見るのがコツです。たとえば株高でも30年債が崩れているなら、その株高は長続きしにくいという読みになります。

指標 なぜ重要か 見るべきポイント 危険サインの例
超長期国債 30年債利回りと入札のテール 最終需要家が買う領域が弱ると、財政運営への不信が表に出る 利回りの上がり方と、国債入札のテールの拡大 利回りが急騰し、テールが広がる
実質金利 名目金利から期待インフレを引く 株の評価は実質金利に左右され、ここが跳ねるとPERが壊れやすい インフレ期待が伸びているか、名目だけが上がっていないか 期待インフレが頭打ちで名目だけが突き抜ける
通貨ボラティリティ 円の変動率 海外勢は株の利益を為替で相殺されるのを最も嫌う ドル円の水準よりも動く速さ 日々の値幅が大きくなり、相場が落ち着かない
日銀の市場操作と市場の反応 中央銀行の制御力への評価が、株債券為替に同時に波及する 臨時買い入れやオペの結果で金利がどう動いたか 買い入れ後も金利が下がらず、信認が傷つく

日銀のオペや買い入れの実績は日銀自身が日々公表しています。市場の反応を見るには、いつ何を行い、どれだけ落札されたかを追うのが早道です。

豆知識
株のニュースは株価を語りますが、相場を動かす力は資金の流れです。資金の流れはまず債券に出やすく、債券が揺れると為替が揺れ、最後に株の安心感が消えます。

実務的な投資判断ロードマップ

選挙後は一気に熱狂しやすいですが、熱狂の中ほど判断が雑になります。フェーズごとに目的を変え、余計な売買はせず、リスクを減らしていきます。

フェーズ 時間軸 市場の典型 実務アクション 確認すべき指標
ご祝儀フェーズ 投開票直後から数日 指数と大型株に買いが集まりやすい 上昇に乗るなら短期と割り切り、出来高の伴い方を重視する TOPIX日経平均の出来高、先物の反応、ドル円の落ち着き
採点フェーズ 翌週から1か月 政策期待から現実評価へ移る 30年債が加速して上がるなら高PERの比率を落とし、金利の恩恵を受ける業種を選ぶ 30年債利回り、入札のテール、実質金利の変化
選別フェーズ 政策の具体化以降 個別銘柄の勝ち負けが分かれる 内需策の恩恵と輸入コスト増を同時に点検し、価格転嫁できる企業を選ぶ 為替の荒さ、原材料高への耐性、価格転嫁の強さ

金利の急変局面では、日銀が機動的に動くかどうかが焦点になりやすいですが、機動対応が常に出るとは限らないという見方も報じられています。だからこそ、出た出ないより、出たときに効いたかどうかが重要になります。

面で見る異常サイン 圧勝イコール買いが壊れる合図

以下が重なるなら、表面の株高に乗り続けるより、いったん速度を落として点検する局面です。

異常サイン 何が起きているか 投資家が受ける損失の形 実務の対処
指数はプラスだが、幅広い銘柄が弱い 一部の大型株だけで指数が支えられている 指数が崩れた瞬間に逃げ場がなくなる 勝っている銘柄でも利確ラインを明確にし、ポジションを分散しすぎない
円安が進んでも輸出株が反応しない 良い円安ではなく、信認不安の円安になっている 円安と株安が同時に来る 為替の動く速さを見て、無理に輸出株へ賭けない
国債入札の不調が目立つ 買い手が慎重になり、需給が崩れている 金利上昇が株の評価を壊す 高PER比率を落とし、金利上昇に強い業種へ寄せる

政治は夢を語り、債券市場はコストで表現していきます。選挙直後の上昇が夢の価格なら、投資家の仕事は、その夢の資金繰りを市場が承認しているかを日々確認することです。

その確認の中心が超長期金利と国債入札です。

自民大勝を前提に投資家がやるべきこと

自民が大勝した直後は、基本的にリスクオンに傾きやすく、日本株は上がりやすいです。ただし、その上昇が長続きするかは株ではなく債券と為替が決めます。やるべきことはシンプルで、選挙の結果に賭けるのではなく、結果が市場にどう評価されているかを毎日点検し、ポジションを段階的に切り替えることです。

考え方の芯は次の一文です。株を買うかどうかは、30年債と円が落ち着いているかで決める。これだけで判断のブレが減ります。

あなたがやるべき判断 確認する順番 良いシナリオ 悪いシナリオ 実務アクション
選挙後に株を攻めてよいか 30年債利回り → 円の値動き → 株の広がり 30年債が落ち着き、円も荒れず、指数の上昇が幅広い銘柄に波及する 30年債が急騰し、円が乱高下し、指数だけが上がって中身が弱い 良い側なら大型株中心の上昇に乗ってよいが、悪い側ならポジションを軽くし、現金比率を上げる
どの業種に寄せるべきか 金利の方向とスピード 金利上昇が緩やかで、景気期待が勝っている 財政不安で金利だけが跳ね、実質金利が上がる 良い側なら景気敏感と大型優位、悪い側なら高PER比率を落として銀行保険など金利上昇耐性へ寄せる
円安は追い風か危険信号か 円安の速さと株の反応 円安でも相場が落ち着き、輸出株が素直に反応する 円安なのに輸出株が鈍く、円の変動が荒い 良い円安なら輸出株は追い風だが、悪い円安なら海外勢が株ごと売るので、輸出株に賭けない

選挙後に買うか売るかより、買ったあとに居座ってよいかを判定するのが正しい動きです。自民大勝は最初の買い材料になり得ますが、次の週からは採点が始まります。その採点表が30年債と円です。ここが荒れたら、株高でも撤退の理由になります。

選挙直後は小さく買う。30年債と円が落ち着いている限りだけ滞在する。崩れたら高PERから先に降りる。このルールにすると、上昇の恩恵は取りつつ、致命傷を負いにくくなります。

「国債・入札」と「利回り・PER」の確認先

財務省やJPXのサイトで見れますが、通常は口座を持っている証券会社のマーケットページで確認できます。SBI証券や楽天証券にもあります。

何を確認したいか 確認先 どこを見ればいいか 備考
30年国債利回り(公式ベース) 財務省 国債金利情報 年限別の金利で30年を確認 公的でブレにくい基準値として使う
30年国債利回り(すぐ見たい、チャートで見たい) 証券会社のマーケットページ 日本国債30年の利回り・チャート 更新が速く、日中の変化を追うのに向く
国債入札の結果(テールを自分で計算) 財務省 国債入札結果 最低落札価格と平均落札価格を確認して差を取る テールは平均落札価格から最低落札価格を引いた差
高PERかどうか(個別銘柄) JPXの銘柄情報、または証券会社の銘柄ページ 銘柄詳細のPERを確認 予想PERと実績PERの区別に注意する
高PERかどうか(市場全体の水準感) 証券会社・金融メディアの指数ページ 日経平均PERやTOPIXのPERを確認 指数PERは市場が割高か割安かの目安

 

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