一般相対性理論によると、高速で移動する物体ほど時間の進み方が遅くなることが知られています。
もし、余命80年の人が一生を飛行機の中(時速1000km)で過ごしたら、地上の人と比べてどれくらい若くなるのでしょうか?
ローレンツ因子を使った計算
時間の遅れを計算するために、ローレンツ因子(ガンマ因子)を使用します。
ローレンツ因子の式は以下の通りです。
γ = 1 / sqrt(1 - v² / c²)
ここで、
– v = 1000 km/h = 278 m/s(飛行機の速度)
– c = 3.0 × 10⁸ m/s(光速)
この式を1次近似で展開すると、時間の遅れは以下のように求められます。
γ - 1 ≈ (1/2) × (v² / c²)
数値を代入すると、
γ - 1 ≈ (1/2) × (278)² / (3.0 × 10⁸)² ≈ 4.3 × 10⁻¹²
飛行機で80年(約2.52 × 10⁹秒)を過ごした場合、時間の差は
Δt × (γ - 1) ≈ 2.52 × 10⁹ × 4.3 × 10⁻¹² ≈ 0.01秒
わずか0.01秒の違い
結論として、飛行機で一生を過ごした人は、地上の人よりも**0.01秒(10ミリ秒)**ほど若くなることがわかりました。
1分どころか、1秒にも満たない誤差レベルです。もうちょっと、1日とかくらいは若くなれるかなと思いましたが短時間すぎました。
「飛行機で暮らせば若返る」と期待した人には残念な結果ですが、相対性理論の効果は、日常的な速度ではほとんど無視できるほど小さいことが実証されました。
やはり、時間の流れを大きく変えたいなら、光速に近づく必要がありそうです。今の技術でなるべく毎日利用できる低コストで速いものは飛行機以外にないので、速さで若くなろうとするのは無理でした。