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『暁星』の龍は超常ではなく支配の装置として怖い

湊かなえさんの『暁星』で、読後に最も重く残る仕掛けは、復讐の筋そのものよりも、作中に差し込まれる「龍」のエピソードです。一見するとオカルトに見えるのに、読み終える頃には現実の暴力として立ち上がってきます。この違和感が、物語を単純な勧善懲悪か...
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【期待値を下げるは逃げではない】底辺駐在員の記録から学ぶギリギリ消耗しない技術

海外駐在の華やかさと底辺という自虐がぶつかり合い、つい手に取りたくなる本でした。実際に読んでみると、面白さの正体はギャップ狙いではなく、現代の生活者が抱える消耗の構造をかなり生々しく言語化している点にあります。私は著者のyoutubeは見て...
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『億までの人 億からの人』を投資本として読むと見えてくる富のOSと落とし穴

『億までの人 億からの人』が刺さるのは、銘柄選びや節約術の話ではなく、富を生み出し続ける人が共通して持つ思考の基盤を、生活と人間関係の設計に落とし込んで見せるからです。特にChapter 5とChapter 6は、既存で言われている(著者自...
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『医者に殺されない47の心得 必携版』を読むときに外してはいけない視点

『医者に殺されない47の心得 必携版』は、医療に対して強い不信をあおる本に見えます。ですが、読みどころは単純な反医療ではありません。医療は善意だけで動く世界ではなく、制度と慣習とビジネスが絡む以上、患者側が無防備だと損をする場面がある。その...
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『The Trading Game』が示す資本主義の故障と日本市場に出る症状

ギャリー・スティーブンソンの著書『The Trading Game』は、金融界の暴露話です。また景気が良いか悪いかという循環の話ではなく、富の偏りが進むほど資産価格が上がりやすくなり、生活者の需要が痩せていくという、資本主義の内部不具合を描...
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幻冬舎ビジネス本ばかり読む人がハマる理由と、偏りを武器に変える読み方

幻冬舎のビジネス本ばかり読んでいると、自分でも偏っている自覚は出てきます。なのに、やめられない。むしろ次も幻冬舎を手に取ってしまう。これは意志が弱いというより、幻冬舎の作り方が読者の生活テンポに刺さる設計だからです。通勤、家族、仕事、資産運...
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「会社四季報」最強のウラ読み術を読んで気づいた、四季報は解くものだった

四季報は毎号買うのに、活用できている実感が薄い。データは膨大で、会社名を追っているうちに読み疲れる。そんな悩みを抱えたまま本書を開いたところ、意外なほど素朴で、しかし深い事実に突き当たりました。四季報は14マスではなく「5ブロック」で読むべ...
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「真・日本の歴史」を読む 日本史の地殻変動を体験する一冊だった

近年、日本史の通説が揺れ続けています。縄文・弥生の境界線は再定義され、古墳の権力構造も書き換えが進み、律令国家の成立過程さえ今なお再検討されている。こうした潮流の中で刊行されたのが本書『真・日本の歴史』(2024年7月発売)です。ネット上で...
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教養として「ローマ史」をどう読むか?本当の価値はどこにあるのか

ローマ史は読むたびに渦のような混沌に巻き込まれる歴史です。皇帝が次々入れ替わり、暴君が現れたかと思えば賢帝が登場し、繁栄と混乱が入れ替わる。その全体像を掴みたいと思って本書を手に取った方は、多くが同じ戸惑いを抱くのではないでしょうか。実際に...
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夜と霧の書評。極限の収容所で、人はどのように自分を保ち、生きようとしたのか

ビクトールエミールフランクルの『夜と霧』は、第二次世界大戦中にアウシュビッツ強制収容所に囚われた精神科医が、自身の体験と観察をもとに「人間とは何か」を追究した作品です。歴史書でもあり、哲学書でもあり、心理学の記録でもあるという、非常に独特な...
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六人の嘘つきな大学生を書評。選考会という密室で、人間はどこまで本音を隠せるのか

朝倉秋成の六人の嘘つきな大学生は、就活という極めて現実的なテーマを舞台にしながら、ミステリーの構造を巧みに織り込んだ作品です。特に注目すべきは、舞台装置のシンプルさと、そこに閉じ込められた六人の就活生それぞれの人間性の暴れ方です。就活という...
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『半グレ』を書評。暴力とビジネスが同居する「境界の世界」を草下シンヤが描き切った理由

草下シンヤの『半グレ』は、暴力団でも一般市民でもない「境界の存在」である半グレ集団を、取材者として徹底的に追いかけたノンフィクションです。本書には、恐怖をあおる派手な演出はなく、逆に淡々とした語り口で、半グレという存在の実像を読者に突きつけ...
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『運』書評。ドンキ安田隆夫が語る「運の正体」は努力と狂気の記録だった

安田隆夫の『運』は、ドン・キホーテという日本有数の巨大小売チェーンを作り上げた創業者が、自らの人生と経営哲学を振り返りながら「運とは何か」を徹底的に語った一冊です。運という言葉は軽く聞こえますが、本書では単なるラッキーストーリーではなく、安...
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呉勝浩「爆弾」「法廷占拠 爆弾2」書評。スズキタゴサクという爆弾に、私たちはなぜここまで囚われるのか

呉勝浩の長編ミステリー「爆弾」は、取調室と連続爆破事件を舞台に、警察と爆弾魔スズキタゴサクの心理戦を描いた作品です。続編「法廷占拠 爆弾2」は、その約1年後の東京地裁での法廷占拠事件を描き、前作の余韻をそのまま「次の地獄」に接続する構成にな...
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「死なない」ことが、最も価値ある挑戦である理由

「挑戦」という言葉は、派手な行動や成功体験を連想させます。起業、転職、恋愛、投資、どれも前へ出ることが称賛される時代です。けれども、本当の意味で価値ある挑戦とは何でしょうか。それは、どんな時代でも変わらず通用する挑戦「死なない」ことです。こ...
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『銃・病原菌・鉄』レビュー|人類史を一気に解き明かす名著

人類史を語るとき、多くの人が「優れた民族が勝ち残った」と無意識に考えがちです。しかしジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』は、その常識を根底から覆します。本書は、世界史を「民族や文化の優劣」ではなく、「環境や地理条件がいかに歴史を方向づ...
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スピノザ『エチカ』、日本人の宗教観に近い「神=自然」

スピノザの『エチカ』は、「神=自然」という大胆な見方から、人間の感情や自由、そして最高の幸福(至福)に至る道筋を、数学のように論理立てて示した本です。むずかしそうに聞こえますが、要は「世界のしくみをよく理解すれば、感情に振り回されず自由に生...
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『汝、星のごとく』レビュー|依存と自立を描いた現代の傑作小説

瀬戸内の小さな島を舞台に始まる物語『汝、星のごとく』。本屋大賞受賞作ということで読み始めました。本記事では、あらすじや登場人物、感動を呼ぶ仕掛けを解説しながら、なぜこの作品が多くの読者を惹きつけるのかを掘り下げます。あらすじ物語は「月に一度...
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なぜ「夕食後、満腹なはずなのに物足りない」のか?『食欲人』が解き明かす、40代男の食欲の真実

仕事でも家庭でも責任が増え、健康診断の結果が気になり始める40代です。日々の食生活に気をつけようと思っても、「夕食後、満腹なはずなのに何か物足りない」と感じたり、週末の夜に無性にスナック菓子や甘いものに手が伸びてしまう、という経験はないでし...
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『近畿地方のある場所について』書評

背筋著『近畿地方のある場所について』は、投稿サイト「カクヨム」から人気を呼んだホラー・モキュメンタリー小説です。語り手が、行方不明の友人を探すために複数の媒体から断片的な証言や資料を集め、それを再構成する形で物語が紡がれていきます。映画化も...