老後のお金、これだけ差がつく!知らないと損する5つの真実

【本】

ファイナンシャルジャーナリストの首藤由之氏が著した「これだけ差がつく!老後のお金」には、難しそうに見えて、実は誰でも今日からできる具体的な行動が丁寧に解説されています。

この記事では、同書のエッセンスを参考にしながら、老後の家計を劇的に変える5つのポイントをわかりやすく紹介します。定年が近い方も、まだ先の話と感じている40代の方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

まず知っておきたい、老後の家計のリアル

老後の生活費は、いったいいくらかかるのでしょうか。総務省の「家計調査報告(2024年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、消費支出と税・社会保険料を合わせて月約28.7万円が平均的な支出額です。一方、年金などの収入は月約25万円前後にとどまるケースが多く、毎月3万円前後の赤字が生じやすい構造になっています。

首藤氏の著書でも示されているように、高齢夫婦の標準的な生活費は月28.6万円とされており、これは統計と非常に近い数字です。さらに、「ゆとりある老後生活」を望む場合は月38万円程度が必要ともいわれています。つまり、年金だけで暮らそうとすると、毎月10万円以上の不足が生じるケースも珍しくないのです。

生活のレベル 月額の目安 年額の目安
最低限の生活(家計調査ベース) 約25.1万円 約301万円
高齢夫婦の平均的な生活費 約28.6万円 約343万円
ゆとりある老後の生活 約38万円 約456万円

この表を見るだけで、年金受給額によって老後のゆとりがまったく違うことが実感できます。だからこそ、年金の受け方・働き方・資産の増やし方を、退職前にしっかり考えることが大切なのです。

真実1:「ちょい働き」がお金と健康を両立させる

定年後は完全にリタイアするしかない、と思っていませんか?実は今、60代・70代の働き方として「ちょい働き」という概念が注目されています。これは、週3日・1日4〜5時間程度の短時間勤務で、フルタイムとアルバイトの中間に位置する働き方です。

首藤氏の著書では、「どう働くかは自由」として、1日何時間・週に何日という軸でこの3つのゾーンが整理されています。アルバイト的な短時間労働、ちょい働き、そしてフルタイムという3段階であり、定年後はそのとき自分が置かれた状況や体力に合わせて選べることが強みです。

実際、総務省の労働力調査(2023年)によると、65〜69歳の就業率はついに52%を突破し、2人に1人が働いている時代になりました。70〜74歳でも34%、75歳以上でも11.4%の方が就業しており、シニアが働くことは今や特別なことではなくなっています。

「ちょい働き」で月10万円を稼ぐだけで、年120万円の収入になります。老後の毎月の不足額を補いながら、社会とのつながりを保てる点でも、精神的な健康につながります。老後をすべて貯蓄で乗り切ろうとするより、少し働き続けるほうが、実はずっと楽な老後になる可能性があります。

豆知識:働くシニアは健康でいられる?

内閣府の高齢社会白書でも、現在収入のある仕事をしている60歳以上の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しています。働くことは経済的なメリットだけでなく、脳の活性化や社会参加による生きがい創出にもつながると多くの研究が示しています。

真実2:年金の「繰下げ受給」で老後のお金が劇的に変わる

年金は65歳からもらうのが当たり前、と思っている方が多いのではないでしょうか。しかし、年金には「繰下げ受給」という制度があり、受給開始を遅らせるほど年金額が大幅に増える仕組みになっています。

日本年金機構の制度によると、受給開始を1か月遅らせるごとに年金額が0.7%増額されます。これを積み上げると次のような計算になります。

受給開始年齢 増額率 例:月10万円の場合の受給額
65歳(標準) 0%(基準) 月10万円
70歳(5年繰下げ) +42% 月14万2千円
75歳(10年繰下げ) +84% 月18万4千円

首藤氏の著書にある図でも「繰下げで年金額はこんなに増える!」として、65歳受給開始の場合の生涯受給額を200万円と仮定すると、70歳繰下げで284万円、75歳繰下げで368万円になることが示されています。その差は実に168万円にのぼります。

ただし、繰下げ受給には注意点もあります。70歳まで繰下げた場合の損益分岐点は約81歳とされており、それより長生きすれば得、短命であれば損というリスクがあります。また、繰下げ期間中は年金を受け取れないため、その間の生活費を別途確保する必要があります。「ちょい働き」と組み合わせることで、この問題をうまく解決できるのがポイントです。

真実3:会社員の年金は「2階建て」で自営業者より有利

日本の年金制度は、よく「2階建て」と呼ばれます。1階部分が全員加入の国民年金(基礎年金)、2階部分が会社員や公務員が上乗せで加入できる厚生年金です。

自営業やフリーランスの方は国民年金のみのため、満額でも月約6万8千円(2024年度)にとどまります。一方、会社員の場合は厚生年金が上乗せされるため、夫婦2人での年金収入が月24〜33万円以上になるケースもあります。首藤氏の著書では、50代夫婦の年金収入として3つの世帯パターンが示されています。

世帯の種類 月々の年金収入(目安) 標準生活費(28.6万円)との差
会社員の夫+専業主婦(専業主婦世帯) 約24.1万円 約マイナス4.5万円
会社員の夫+会社員の妻(共働き世帯) 約33.2万円 約プラス4.6万円
会社員の夫+パート妻(パート世帯) 約24.9万円 約マイナス3.7万円

この表からわかるように、共働き世帯は年金だけで標準的な生活費をカバーできる可能性があります。一方で専業主婦世帯やパート世帯では月4〜5万円の不足が生じます。自分の世帯がどのパターンに近いかを把握することが、老後の設計の第一歩です。

豆知識:第3号被保険者制度とは?

会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養されている配偶者は「第3号被保険者」として、自分では保険料を払わずに基礎年金を受け取ることができます。ただし、年収130万円未満という要件があるため、妻がパートで働く場合はこの「130万円の壁」に注意が必要です。収入が増えれば厚生年金に加入でき、将来の年金額も増えます。

真実4:iDeCoとNISAは老後資金の強力な味方

老後の資金を自分で準備するうえで、絶対に知っておきたいのがiDeCo(個人型確定拠出年金)新NISAです。どちらも国が設けた税制優遇制度で、うまく使えば老後の資産が大きく育ちます。

首藤氏の著書では、iDeCoの3段階の税制メリットが紹介されています。まず掛金が全額所得控除になること、次に運用益が非課税(通常は20.315%の税金がかかる)になること、そして受け取り時にも公的年金等控除や退職所得控除が使えること、の3つです。これらは通常の貯蓄や投資にはない、強力な特典です。

新NISAは2024年から大幅に拡充されました。非課税保有期間が無制限となり、年間最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)の投資が可能になっています。生涯投資枠は1800万円と大幅に広がりました。

複利の力は時間が長いほど大きくなります。首藤氏の著書にある図では、毎月一定額を積み立てた場合、運用利率3%・5%・7%の差が20年後には数百万円もの差に広がることが示されています。早く始めるほど有利なのは、まさにこの複利効果のためです。

豆知識:iDeCoとNISAはどちらを先に使う?

iDeCoは掛金の所得控除効果が大きいため、所得税・住民税を払っている現役世代にとっては節税効果が高いです。一方NISAは引き出しがいつでも自由な点が強みです。一般的には、まずiDeCoで老後専用資金を積み立て、余裕があればNISAで中期的な資産形成をするという使い分けがおすすめされています。ただし、iDeCoは60歳まで原則引き出しができないため、資金が必要なライフイベントを考慮した上で判断しましょう。

真実5:家計の見える化が老後安心の最大の武器

「老後のお金が心配」という人の多くは、実は「今いくら使っていて、老後にいくら必要か」を具体的に把握していないことが多いものです。首藤氏の著書では、「家計の長期予想表(キャッシュフロー表)」の作成を強く勧めています。

これは、今から老後の収入(年金・給与・資産運用)と支出(生活費・ローン・医療費など)を年ごとに一覧にしたものです。これを作ることで、どの年に資産がマイナスに転じるか、何歳ころに貯蓄が底をつくかが視覚的にわかります。

同書によると、リタイア後の生活費として総務省の家計調査に基づいた支出項目の目安が示されています。食料費・住居費・光熱水道費・家事用品・保険医療費・交通通信費・教養娯楽費・その他を合計すると、高齢世帯の月平均消費支出は約25万円(2023年データ)にのぼります。

まずは自分の現在の家計と照らし合わせ、定年後に減る支出(子育て費・住宅ローン・通勤費など)と増える支出(医療費・旅行・趣味など)を洗い出してみましょう。エクセルで簡単に作れますし、無料のキャッシュフロー表テンプレートもネットで多数公開されています。

老後のお金の差は「知識」と「行動」が作る

この記事では、首藤由之氏の著書「これだけ差がつく!老後のお金」をもとに、老後の家計を変える5つの真実をご紹介しました。

最後に要点を整理します。

第一に、老後も少しだけ「ちょい働き」を続けることで、年金の不足を補いながら健康と社会とのつながりを維持できます。第二に、年金の繰下げ受給を活用することで、生涯受け取る年金総額が大幅に増える可能性があります。第三に、自分の世帯の年金収入パターンを把握し、どのくらい自助努力が必要かを知ることが大切です。第四に、iDeCoとNISAの税制優遇を早期から活用して、複利の力で資産を育てましょう。第五に、家計のキャッシュフロー表を作り、老後の家計を「見える化」することが、すべての出発点になります。

老後のお金で差がつく最大の理由は、「知っているか知らないか」です。年金制度も税制優遇制度も、知っていれば使える制度が日本にはたくさんあります。今日からできることとして、まずは自分の年金見込み額を「ねんきんネット」で確認し、家計の収支を書き出してみることからスタートしてみてください。一歩踏み出した人と何もしなかった人とでは、10年後・20年後の老後の充実度に大きな差が生まれます。

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