AIブームが地政学リスクを上回った4月!ひふみマイクロスコープproの運用実績と注目銘柄

ひふみマイクロスコープpro 投資信託

2026年4月の株式市場は、イラン情勢という重大なリスクを抱えながらも、AI・半導体関連銘柄への期待が相場全体を押し上げ、世界株は最高値圏で推移しました。こうした相場環境の中、レオス・キャピタルワークスが運用するひふみマイクロスコープproは、2026年4月30日時点で基準価額が1万口あたり12,193円となりました。設定来の騰落率は21.93%と着実な成果を積み上げています。

4月相場の読み方、特集銘柄のテスホールディングス(5074)の事業内容、組入上位10銘柄の顔ぶれ、そしてファンドマネージャーが描く今後の投資戦略まで、ポイントを絞ってわかりやすく解説します。

4月の相場環境:AIへの期待が不安を飲み込んだ

2026年2月末以降、中東のイラン情勢とオイルショックという2つの危機が株式市場に影を落としてきました。ところが4月は、その流れが大きく変わりました。AI関連の設備投資拡大への期待が市場のセンチメントを好転させ、国内外の株式相場は大幅に反発したのです。

業種別に見ると、非鉄金属、電気機器、ガラス・土石製品などが上昇し、AI・半導体関連銘柄への資金集中が鮮明でした。一方、鉱業、石油・石炭製品、水産・農林業、空運業、陸運業はイラン情勢の影響を受けて下落し、相場の明暗がはっきりと分かれる展開となりました。

スタイル別では大型グロース株が最も上昇し、小型グロース株がやや劣後、バリュー株は大型・小型ともに出遅れるかたちとなりました。日経平均株価が際立った上昇を見せた一方、TOPIXとの間に大きな乖離が生じたことが、この相場の偏りをよく示しています。

豆知識:高ベータ銘柄とは何か?

ファンドレポートに登場する高ベータ(市場連動性の高さ)とは、市場全体が動くときに、それ以上に大きく動く銘柄の性質を指します。たとえば市場が1%上昇するときに2%上昇しやすい銘柄はベータ値が2と表現されます。4月のように相場が急反発した局面では、高ベータ銘柄が特に恩恵を受けやすく、日経平均の構成銘柄(値がさ株)などに資金が集まりやすい傾向があります。一方で下落局面では損失も増幅されるという特性があります。

4月の運用成績:TOPIXには劣後もマザーファンドは健在

4月の運用実績を確認してみましょう。ひふみマイクロスコープproの基準価額は、設定来の最高値である14,502円から現在12,193円の水準にあります。純資産総額は148.99億円です。

区分 1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 1年 設定来
ひふみマイクロスコープpro 4.96% 5.28% 8.35% 19.92% 21.93%
TOPIX(配当込み) 6.57% 5.56% 13.17% 43.01% 45.02%

1ヶ月・3ヶ月の騰落率はいずれもTOPIXとほぼ拮抗しており、6ヶ月以降では差が開いています。4月はとくに大型株・値がさ株への物色が集中する相場だったため、小型株を主体とするこのファンドにとって、参考指数を上回ることが難しい環境でした。

ただし、親投資信託であるレオス日本小型株マザーファンドに目を向けると、設定来(2011年11月)の基準価額は133,338円と、TOPIX(配当込み)の71,467円を約1.87倍上回る長期実績を誇ります。時間軸を伸ばして見たときの底力は変わっていません。

マザーファンドとは何か?

ひふみマイクロスコープproは、レオス日本小型株マザーファンドを通じて間接的に株式へ投資するファミリーファンド方式を採用しています。マザーファンド(親ファンド)は複数のベビーファンド(子ファンド)から資金をまとめて受け取り、一元的に運用します。投資判断や銘柄選択はすべてマザーファンド側で行われるため、ひふみマイクロスコープproの組入銘柄はマザーファンドの組入銘柄と実質的に同じです。マザーファンドは2011年設立で、長年の運用実績がこのファンドの土台を支えています。

特集銘柄:テスホールディングス(5074)蓄電池ビジネスが急加速

今月のレポートで特集として取り上げられているのが、組入比率3位のテスホールディングス(証券コード5074、建設業)です。太陽光発電などの再生可能エネルギーの設計・施工・運営を一貫して手掛ける企業ですが、いま最も注目を集めているのが系統電源用定置型蓄電池事業です。

なぜ蓄電池の需要が急増しているのか

太陽光や風力発電には、天候によって発電量が大きく変動するという宿命的な弱点があります。晴れた昼間には大量の電気が発生する一方、夜や曇りの日は発電がほぼゼロになります。このような不規則な電力を送電網に直接つなぐと、電圧や周波数が乱れて大規模停電などのトラブルを招くリスクがあります。

そこで注目されているのが変動を吸収する蓄電池です。余った電力を貯めておき、足りないときに放出することで、電力系統を安定させる役割を担います。近年のリチウムイオン電池の技術革新とコスト低下によって、蓄電池を電力の需給調整市場で活用する採算性が現実的になってきました。

テスホールディングスはこの追い風を着実に捉えています。2026年2月13日時点での蓄電池EPC(設計・調達・施工)の大口受注額は累計約367億円に達しており、受注残高の約9割を蓄電池が占めるまでに事業構造が変化しています。また2024年12月に資本業務提携を結んだ東京センチュリー(8439)からの受注も加わり、さらなる拡大が期待されています。

中期計画が示す成長の規模感

テスホールディングスの中期計画では、営業利益を2025年6月期の25億円から2030年6月期には134億円へと、約5倍以上に拡大させる目標を掲げています。2026年6月期通期の業績予想は売上高470億円(前期比28.1%増)、営業利益36億円(前期比41.3%増)と、すでに力強い成長軌道に乗っています。

再生可能エネルギーが増加するほど蓄電池の需要も増えるという構図は、カーボンニュートラルへの世界的な潮流が続く限り、長期的に変わりにくいといえます。いわば電力インフラの縁の下の力持ちとして、静かに存在感を高めている企業です。

組入上位10銘柄:防衛・成長・生活インフラが三本柱

2026年4月30日時点のマザーファンドへの組入上位10銘柄は以下のとおりです。マザーファンドの組入銘柄数は全69銘柄で、純資産総額は170.10億円です。

順位 銘柄名 コード 業種 組入比率
1 岡野バルブ製造 6492 機械 4.34%
2 MTG 7806 その他製品 3.39%
3 テスホールディングス 5074 建設業 3.18%
4 カーリット 4275 化学 2.58%
5 ジェイ・エス・ビー 3480 不動産業 2.48%
6 リンクアンドモチベーション 2170 サービス業 2.29%
7 ブティックス 9272 サービス業 2.14%
8 タイミー 215A サービス業 2.00%
9 帝国繊維 3302 繊維製品 1.95%
10 ワンキャリア 4377 情報・通信業 1.93%

前月(3月末)と比較して、顔ぶれは大きく変わっていない印象ですが、業種の構成を改めて眺めると、サービス業が3社(リンクアンドモチベーション・ブティックス・タイミー)と最も多くランクインしています。人材・採用・組織という日本社会の根本的な課題にアプローチする企業群が厚みを増してきた点は、今の日本経済の構造変化を反映しているといえそうです。

また注目すべきは、岡野バルブ製造(発電所向け特殊バルブ)、カーリット(火薬・防衛省向け増産)、帝国繊維(消防用ホース・重要インフラ向け機材)という防衛・安全保障・防災インフラ関連が引き続き上位に並んでいる点です。ファンドマネージャーは4月の運用でも防衛や国土強靭化など着実な需要増が見込めるレガシー銘柄への注目を維持しています。

新顔のワンキャリアに注目

10位に入ってきたワンキャリア(4377)は、2015年設立・2021年上場という比較的若い企業です。新卒を中心とした人材採用メディアを運営しており、上位校・理系学生へのアクセスに強みを持ちます。キャリアデータの蓄積が競合との差別化要因となっており、若手中途転職にも領域を広げています。成長性の高い新興上場銘柄として、ファンドマネージャーが新たに組み入れた可能性が高い銘柄です。

ファンドマネージャーの見通し:物色の広がりが出るかが焦点

ファンドマネージャーの渡邉庄太氏は5月1日付のメッセージで、現在の相場環境についてこう整理しています。

4月の相場は日経平均とTOPIXの乖離に象徴されるように物色が一部の業種・銘柄に集中するものであり、こうした偏った相場展開は持続性が低いと見ています。5月以降に物色の広がりが出るかどうかが、ひとつの判断ポイントとなる見込みです。

地政学リスクについては、ホルムズ海峡の実質的な封鎖状態が続いており、原油・天然ガスだけでなくヘリウムや臭素など半導体・農薬に不可欠な原材料の供給途絶も現在進行形のリスクとして意識されています。一方でイラン情勢の日本企業への収益影響は現時点では限定的で、電気機器・情報通信業などは堅調な増益見通しとなっています。

今後の運用方針は、防衛・国土強靭化などで需要拡大が見込めるレガシー銘柄と、高成長が期待できる新興銘柄の両輪で構成するというものです。小型株市場全体への物色が広がる局面に備えながら、銘柄の精選を続けるスタンスといえます。

業種別の組入比率トップ10(マザーファンド):

サービス業が17.05%で最多、次いで機械9.56%、情報・通信業8.09%、小売業7.14%、建設業6.92%と続きます。不動産業6.38%、銀行業6.17%、その他製品4.68%、化学3.74%、電気機器2.19%となっており、特定の業種に偏らず幅広い分野に分散投資している点がわかります。グロース市場への組入比率は22.76%と約4分の1を占めており、成長性の高い上場間もない銘柄もバランスよく取り込んでいます。

マザーファンドのポートフォリオ構造を整理する

投資先の時価総額を見てみると、300億円以上3,000億円未満の中型株が64.97%と最も多く、300億円未満の小型株が13.24%、3,000億円以上の大型株が6.43%となっています。小型株ファンドでありながら、リスク管理の観点から中型株も厚めに組み入れているバランスが読み取れます。

市場別では、プライム市場48.42%、グロース市場22.76%、スタンダード市場13.47%という構成です。話題性の高いグロース市場の銘柄が約4分の1を占めており、成長ステージにある企業への積極的な目線が感じられます。

偏った相場の後には、小型株の番が来るかもしれない

4月の日本株相場は、AI・半導体という特定テーマへの資金集中が鮮明でした。その恩恵を受けにくい小型株主体のひふみマイクロスコープproにとっては、TOPIXとの差が広がりやすい局面でした。しかし歴史的に見ると、大型株への物色集中が続いた後、やがて中小型株へと投資マネーが流れ込む局環境は繰り返されてきました。

テスホールディングスに象徴されるように、このファンドが注目する銘柄には今の相場ではまだ脚光を浴びていないが事業の実態は着実に拡大しているという特徴があります。蓄電池、防衛・防災インフラ、人材テック。どれも10年単位で需要が伸び続ける領域です。

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