NTT株は貯金の代わりになるか?100万円を5年間シミュレーションしてわかった現実

ntt 株式

NTTの配当利回りは2026年6月現在で約3.67%、16期連続増配という実績があります。配当だけを取り出せば普通預金の約12倍のリターンになる計算です。

では実際に100万円を5年間持ち続けたとき、手元に何円残るのでしょうか。株価が上がった場合・横ばいの場合・下がった場合の3パターンで試算し、銀行預金との差を数字で確かめてみます。なお、本記事の試算はすべて概算で、売買手数料や税制変更は考慮していません。

NTTの基本データを整理する

NTTは財務省が約34.25%を保有する国内最大の通信持株会社で、傘下にNTTドコモ、NTT東日本・西日本、NTTデータなどを擁しています。連結売上高は13.7兆円(2025年3月期)、従業員数は約34万人です。東証プライム上場で日経225・TOPIX Core30の構成銘柄でもあり、インデックスファンドからの継続的な売買需要があります。

2026年6月9日時点の株価は約147円、売買単位は100株のため最低購入金額は14,700円と個人投資家が手を出しやすい価格帯に収まっています。以下に主要な指標を整理しました。

項目 数値(2026年6月時点)
株価 約147円
配当利回り(予想) 約3.67%
年間配当(1株) 5.4円(2026年度予定)
連続増配年数 16期連続
配当性向 約42%
PER(予想) 約12.7倍
時価総額 約13.3兆円
財務省保有比率 約34.25%

NTT株の株価はどのくらい動くのか

NTTは通信インフラという生活必需サービスを提供しているため、景気後退局面でも業績が大きく崩れにくいディフェンシブ株の代表格とされています。52週の株価レンジは135円から167円に収まっており、同じ期間に日経平均が大きく急落した局面と比較すると価格のブレ幅は相対的に小さいといえます。

ただし、株価がほとんど動かないわけではありません。10年来高値は2024年1月23日につけた192.9円です。現在の147円前後と比べると約24%の下落になります。さらに2026年6月8日には年初来安値の144.3円をつけており、直近は緩やかな下落基調が続いています。ディフェンシブ銘柄であっても、数年単位では20%超の価格下落が起きることは過去の実績が示しています。

ディフェンシブ株とは:

電気・ガス・通信・食品など、景気変動の影響を受けにくい事業を持つ企業の株式を指します。経済の好不況にかかわらず一定の需要があるため株価変動が小さい傾向がありますが、景気拡大局面では成長株ほどのリターンが得られにくいという特性もあります。

16期連続増配という実績の重み

NTTが2026年度に予定する年間配当は1株当たり5.4円で、これが実現すれば16期連続増配となります。2003年度の配当は0.5円だったため、約23年で10倍以上に拡大した計算です。毎年0.1円ずつ積み上げているため、長く持てば持つほど取得価格に対する実質利回りが上がっていく仕組みになっています。

配当性向は約42%で、純利益の半分弱を配当に充てています。自己株式取得も積極的で、2026年3月までの累計取得総額は約5.9兆円に達しました。2026年5月にはさらに2,000億円を上限とした新規取得を決議しています。株主への資金還元の規模は国内でも有数です。

一方で、2026年度通期の業績予想は増収ながら減益となっており、利益の伸びは鈍化しています。配当性向が40%台を維持している間は大幅な減配リスクは低いと考えられますが、業績動向からは目を離さない姿勢が求められます。

100万円を5年間保有するとどうなるか

試算の前提

2026年6月の株価147円で100万円分を購入すると、100株単位のため6,800株(投資額999,600円)を取得できます。配当は現行の5.4円を起点に毎年0.1円増配が続くと仮定し、5年間の税引前配当合計は以下の通りになります。

年 1株配当(仮定) 6,800株の配当(税引前)
1年目 5.4円 36,720円
2年目 5.5円 37,400円
3年目 5.6円 38,080円
4年目 5.7円 38,760円
5年目 5.8円 39,440円
合計 190,400円

配当には20.315%の源泉徴収税がかかるため、税引後の5年間累計は約151,700円になります。この配当収入に、5年後に売却したときの株価損益を加えたものが総リターンです。

株価シナリオ別の試算(NISA口座外)

シナリオ 5年後の想定株価 5年間の配当合計(税引後) 売却損益(概算) 5年間の総リターン
株価+20% 約176円 +151,700円 +159,300円 +311,000円
株価+10% 約162円 +151,700円 +79,700円 +231,400円
株価横ばい 147円 +151,700円 0円 +151,700円
株価-10% 約132円 +151,700円 -100,000円 +51,700円
株価-20% 約118円 +151,700円 -200,000円 -48,300円

株価が横ばいなら5年間の手取り配当は151,700円、年平均で約3.0%の税引後リターンになります。株価が10%下落してもトータルでは51,700円のプラスを維持できますが、20%下落するとそこまでに積み上げた配当を全部飲み込んでも足りず、48,300円の損失に転じます。配当は毎年確実に入金されますが、株価の下落幅が大きくなれば5年分の配当でも埋め切れない点は数字で把握しておきたいところです。

銀行預金と並べてみる

商品 元本保証 税引後の実質年利(概算) 5年間の利息・配当(税引後)
メガバンク普通預金(金利0.3%) あり 約0.24% 約12,000円
ネット銀行定期預金(金利1.1%) あり 約0.88% 約44,500円
NTT株・株価横ばい想定(NISA外) なし 約3.0% 約151,700円
NTT株・株価横ばい想定(NISA内) なし 約3.7% 約190,400円

配当収入の金額だけを比較すると、NTT株はメガバンク普通預金の約12倍、ネット銀行定期預金の約3.4倍になります。ただし、銀行預金には元本が1,000万円まで保護される制度があり、NTT株にはその保証がありません。この非対称性を念頭に置いた上で、どの程度の資金を株式に振り向けるかを判断することが現実的な進め方です。

NISA口座で保有すると何が変わるか

NTT株をNISA口座(成長投資枠)で保有すると、配当にかかる20.315%の税金がゼロになります。税引前の190,400円がそのまま手取りになり、銀行預金との差はさらに広がります。年平均の実質利回りは約3.7%で、ネット銀行定期預金(税引後0.88%)と比べると4倍以上の開きになります。

一点だけ注意が必要なのは、NISA口座内で発生した損失は他の口座の利益と損益通算できないことです。NISA外で保有していれば、株価が下落して損失が出た年に他の株式の売却益と相殺して税金を取り戻す余地がありますが、NISA内では使えません。配当非課税の恩恵が大きい分、損失が出た場面での手当て方法が限られる点は頭に入れておきたいところです。

NISAの成長投資枠とは:

年間240万円まで個別株や投資信託を非課税で購入できる制度の枠組みです。配当・売却益ともに税金がかかりません。非課税期間に上限はなく、NTT株は成長投資枠の対象銘柄になっています。100株単位で買えるため、約14,700円から非課税の配当運用を始められます。

貯金代わりとして使う前に確認すべき3点

NTTは通信インフラのディフェンシブ株で安定感のある銘柄ですが、株式である以上、元本割れのリスクをゼロにする方法はありません。購入前に以下の3点を確認してください。

1. 株価は現在、年安値付近にあります。2026年6月8日に144.3円の年初来安値をつけており、2024年1月の高値192.9円からは約25%の下落水準です。買い下がりで平均取得価格を下げる余地はありますが、さらに下値を探る展開も排除できない局面にあります。

2. 増配が続く保証はありません。16期連続増配は強力な実績ですが、業績が大きく悪化すれば配当方針が変わる可能性はあります。2026年度の業績予想は増収ながら減益で、利益の伸びが鈍化している事実は数字として出ています。配当性向42%で当面の減配リスクは限定的とみられますが、業績の推移は定期的に確認する習慣をつけたいところです。

3. 短期間での換金には不向きです。銀行預金は必要なときにすぐ引き出せますが、株式は売却から受渡しまで3営業日かかります。また急いで売ると株価が不利なタイミングに重なることもあります。生活費や緊急時に備えた資金は株式に充てず、銀行に確保したまま手を付けないのが現実的な線引きになります。

どういう目的で持つのが現実的か

NTT株が機能しやすいのは、5年以上動かさなくてよい余剰資金を配当で育てる使い方です。生活費の一部や近いうちに使う予定の資金を投じる商品ではなく、半年ごとに配当が口座に入ってくるのを待ちながら長期で保有するスタイルに向いています。

最初の一歩としては、まずNISA口座を開設し、100株分(約14,700円)だけ購入して配当入金の流れを自分の手で体験するのがよいでしょう。実際に配当が振り込まれる感覚をつかんでから、余剰資金の規模や許容できる損失額に合わせて買い増しを検討する順番が無理のない進め方です。

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