半導体と宇宙を仕込んだ4月。スモール・モンスターズ・ジャパン2026年4月の運用

中小型成長株オープン スモール・モンスターズ・ジャパン 投資信託

日経平均が6万円の大台に乗せたと話題になった2026年4月、中小型株ファンドはどんな動きを見せたのでしょうか。SBI岡三アセットマネジメントが運用する中小型成長株オープン(愛称:スモール・モンスターズ・ジャパン)の2026年4月30日時点の月次レポートが公表されました。

今月は基準価額が1ヵ月で7.07%上昇し、参考指数(TOPIX Small配当込み)の5.70%を上回る好成績を記録しました。

2026年4月の投資環境 – 米イラン停戦合意と半導体相場の復活

4月の国内株式市場を振り返ると、月前半と後半で大きく流れが異なる展開でした。

月の上旬から中旬にかけては、米国とイランが停戦に合意したことが最大のポジティブ材料となりました。3月に市場を揺さぶった中東情勢の緊迫感が和らぎ、原油価格の急騰にもひとまず歯止めがかかりました。日本の実体経済や企業業績への悲観的な見方が後退し、投資家心理が改善したことで株式市場は大きく反発しました。

特に注目すべきは半導体株の世界的な復調です。この流れを受け、半導体株の組入比率が高い日経平均株価は東証株価指数(TOPIX)を大きく上回る上昇を見せ、月末にかけて一時6万円の大台に乗せました。日経6万円は一つの象徴的な節目であり、日本株市場全体の強さを示す出来事でした。

ただし月の後半は、米国とイランの交渉が再び難航しているとの報道が伝わり、株価の上値は重い展開に。買い一巡後は値動きが落ち着く場面も多く、物色の偏りが目立つ相場展開となりました。

豆知識:ホルムズ海峡と日本の石油

ホルムズ海峡はペルシャ湾の出口にあたる幅約55kmの海峡で、世界の海上石油輸送量の約2割がここを通過します。日本が輸入する原油のおよそ9割は中東産で、そのほぼすべてがホルムズ海峡を経由しています。ファンドマネージャーのコメントにホルムズ海峡の開放を見据えた展開という表現があるのは、この海峡が日本企業の業績に直結するからです。停戦や安全航行の確保は、原材料費の安定につながり、製造業の収益改善を後押しします。

2026年4月の運用成績 – 参考指数を1.37ポイント上回る好成績

2026年4月30日時点の基準価額は54,226円(1万口あたり)で、純資産総額は13.1億円となっています。

1ヵ月 3ヵ月 6ヵ月 1年 3年 設定来
分配金再投資基準価額 +7.07% +4.83% +19.53% +60.94% +100.34% +442.26%
参考指数(TOPIX Small配当込み) +5.70% +6.74% +18.24% +46.04% +89.42% +304.66%

表を見ると、1ヵ月・1年・3年・設定来のすべてで参考指数を上回っています。特に目を引くのが過去1年の+60.94%という数字で、参考指数の+46.04%に対して14ポイント以上の上乗せを実現しています。設定来(2014年3月)の+442.26%は参考指数の+304.66%を137ポイント以上上回っており、アクティブ運用の実力が長期にわたって発揮されていることが分かります。

なお、3ヵ月の騰落率は参考指数(+6.74%)に対して+4.83%と下回っています。これは3月の中東リスク急拡大時に中小型成長株が大きく売られた影響が3ヵ月の期間に含まれているためで、4月単月の回復力を見れば、ファンドが着実に反発していることが確認できます。

4月のポートフォリオ変更 – ファンドマネージャーは何を判断したか

今月の運用で最も注目したいのは、ファンドマネージャーが実施した銘柄入れ替えの内容です。月次レポートの運用経過を読むと、明確な方向性が見えてきます。

買い付け:半導体事業の拡大株と宇宙関連株

4月に新たに組み入れ(または買い増し)したのは、半導体事業の拡大を追い風に収益力の向上が期待される電気機器株と、中期的な成長ポテンシャルを評価した宇宙関連株です。

電気機器セクターの組入比率は4月末時点で23.8%とポートフォリオ最大の業種になっています。半導体関連は世界的な設備投資の拡大局面にあり、直接的な半導体チップメーカーだけでなく、その製造に必要な素材・装置・検査機器・ケーブルといった関連銘柄にも恩恵が広がっています。スモール・モンスターズ・ジャパンはこの半導体エコシステムの広がりを捉えた銘柄選定を得意としています。

宇宙関連株の組み入れも今月の特筆すべき動きです。日本の宇宙産業は官民連携で拡大が続いており、ロケットの打ち上げ増加や衛星通信網の整備が進んでいます。中小型株の中には、宇宙機器部品の供給や地上インフラの整備を担う企業が複数あり、ファンドマネージャーはここに中期的な成長余地を見出したと考えられます。

売却:金利敏感株と業績下振れ懸念の機械株

一方で手放したのは不動産株と一部の機械株です。

不動産株については、金利上昇に伴う業績への悪影響が懸念材料として浮上しました。日本銀行の金融政策の正常化が続く中、借入コストの増加が不動産業者の収益を圧迫するリスクは無視できません。成長株ファンドとして、こうした逆風が続く銘柄は機動的に売却する判断が合理的です。

機械株については、外部環境の不透明感を背景に一部企業が収益見通しを引き下げたことが売却の引き金となりました。中東情勢の影響でサプライチェーンへの懸念が残る中、業績予想を下方修正する機械メーカーが出てきたことで、保有継続よりも利益確定を優先した判断が読み取れます。

アクティブファンドの銘柄入れ替えはなぜ重要か

インデックスファンドが指数の構成銘柄をそのまま保有し続けるのに対し、アクティブファンドのファンドマネージャーは市場環境の変化に応じて銘柄を入れ替えます。今月のスモール・モンスターズ・ジャパンのように停戦後の株価回復局面では半導体を買い、金利上昇が業績を直撃する不動産は売るという判断を、インデックスは自動的には行えません。この判断の積み重ねが、長期での参考指数超えにつながっています。

組入上位10銘柄と月次の貢献度

4月末時点の組入上位10銘柄は以下の通りです。前月(3月末)と比較すると、キッツが2位に浮上し、平河ヒューテックが新たにトップ10入りしています。

順位 銘柄名 組入比率 主な事業
1 西華産業 6.0% 機械総合商社・発電設備
2 キッツ 5.6% 国内最大手バルブメーカー
3 扶桑化学工業 5.0% 半導体研磨材・果実酸
4 イノテック 5.0% 半導体・電子部品商社
5 大栄環境 4.1% 廃棄物処理・資源再生
6 エクシオグループ 4.0% 電気通信工事
7 アズビル 3.8% ビル・産業用自動制御機器
8 平河ヒューテック 3.7% 電線・半導体検査装置用ケーブル
9 オルガノ 3.7% 水処理装置・純水製造
10 名村造船所 3.4% 造船

月次の基準価額に対してプラスに寄与したのは半導体材料株と専門商社株、マイナスに影響したのは機械株と不動産株と報告されています。半導体材料株の代表格としては扶桑化学工業(超高純度コロイダルシリカ)が、専門商社株の代表格としては西華産業(機械・発電設備商社)やイノテック(半導体商社)が該当すると見られます。

注目銘柄のポイント – 今月から見方が変わる2社

キッツ(組入2位・5.6%)- 半導体とデータセンターが新たな主役

キッツはKITZブランドで知られる国内最大手の総合バルブメーカーです。バルブとは液体や気体の流れを制御する機器で、建設設備、水処理、石油化学、そして半導体製造装置まで幅広い産業に欠かせない存在です。製品種類は9万種類以上に及び、多品種少量生産に対応できる技術力が競争優位の源泉となっています。

従来は建築設備や水処理向けが主力でしたが、近年は半導体製造装置向けの高純度ガス用バルブと北米データセンター向けの水冷システム用バルブが成長ドライバーに浮上しています。2026年2月にはベトナム工場で半導体装置向け高純度ガス用バルブの生産を開始しており、海外生産体制の強化が着実に進んでいます。2025年12月期は過去最高の売上高と営業利益を更新し、2026年12月期も増収増益を計画しています。

平河ヒューテック(組入8位・3.7%)- 半導体検査装置ケーブルの専業メーカー

平河ヒューテックは1948年創業の電線専業メーカーで、東証プライム市場に上場しています。主力製品は産業機器用ケーブル、車載用ケーブル、半導体検査装置用ケーブル、そしてサーバー・ストレージ用の高速伝送ケーブルです。医療機器用の特殊チューブも手がけており、電線製造で培った技術を医療分野に応用しています。

より細く、より速く、そして高精度の電気特性を追求する同社の電線は、デジタル化の進展とともに需要が拡大しています。AIサーバーやデータセンターの普及で高速大容量データ伝送への需要が高まる中、同社の強みが発揮される環境が整いつつあります。半導体相場の復調を追い風に、4月の運用においてもプラスに貢献した可能性があります。

決算精査と高確度銘柄への集中

ファンドマネージャーは現状について、国内株式市場は従前の上昇基調に戻ったと評価しています。3月に急拡大した国内株のボラティリティ(値動きの振れ幅)は、停戦協議などを経て落ち着いてきており、米国とイラン双方に停戦を継続する意欲が強いとの見立てです。

一方でリスク要因も残存しています。原油価格が高止まりしていることに加え、石油化学製品の調達懸念が完全には払拭されていません。そのため、原油依存度が高い企業やサプライチェーンが複雑な産業については、原材料費の上昇や不足が業績予想の下振れにつながる可能性も念頭に置いています。

今後の運用方針として明示されているのは、2026年1-3月期の決算内容を精査した上で、中期的な利益成長に対する確度が高いと判断した銘柄への集中度を高めるという方向性です。決算発表シーズンを受けて、業績の実態をしっかり見極めながら、より確信度の高い銘柄に資源を集中させる姿勢が読み取れます。

設定来+442.26%の意味を実感してみよう

このファンドは2014年3月10日に設定されています。仮に設定当初に100万円を投資し、分配金をすべて再投資していたとすると、2026年4月末時点で約542万円相当になっている計算です(設定来騰落率+442.26%)。同期間の参考指数(TOPIX Small配当込み)の騰落率+304.66%と比較すると、インデックスに投資していた場合の約404万円を大きく上回ります。もちろん過去の実績であり将来を保証するものではありませんが、アクティブ運用が長期で機能した場合の力を示す数字です。

中小型株ファンドを読む楽しさ

スモール・モンスターズ・ジャパンの4月月次レポートを読み解くと、単なる数字の羅列ではなく、そのときの世界情勢をどう読んで、どの企業に賭けたかというファンドマネージャーの思考プロセスが見えてきます。米イラン停戦を受けてリスクオンに転換し、半導体相場の復調を捉えた銘柄を買い増し、金利リスクに敏感な不動産株は早めに売却する。この一連の判断が、参考指数を上回る月次パフォーマンスにつながりました。

1年間で+60.94%、設定来で+442.26%という長期実績は、こうした地道な判断の積み重ねによるものです。毎月のレポートを追い続けることで、ファンドマネージャーの視点や市場の読み方が自然と身についていきます。

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