日経平均6万円突破の陰でスモールキャップはどう動いた?ライジング・サン2026年4月運用レポート

スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド (愛称:ライジング・サン) 投資信託

2026年4月、日経平均株価が終値ベースで初めて6万円台に到達。連日の報道で最高値更新のニュースが飛び交う中、個人投資家の多くが日経平均やNASDAQに注目していたことでしょう。

大型株が主役の舞台裏で、小型株の世界はまったく異なる動きをしていました。スパークス・アセット・マネジメントが運用するスパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド(愛称:ライジング・サン)の4月マンスリーレポートを読み解きます。

2026年4月の株式市場を振り返る

日経平均6万円という歴史的マイルストーン

4月27日、日経平均株価は前日比821円高の60,537円で取引を終え、終値ベースで史上初めて6万円台に乗せました。月間では前月末比16.1%もの大幅上昇という驚異的なパフォーマンスです。

上昇の背景には複数の要因が重なりました。月前半は中東情勢への警戒感から波乱の展開が続きましたが、停戦協議が進展するとの期待が高まり、投資家心理が急速に改善しました。月半ばからは市場の関心が地政学的リスクから企業業績やAI(人工知能)関連需要へとシフト。米国のハイテク株や半導体指数(SOX指数)が上昇する中、日本でも半導体・AI関連銘柄への資金集中が進みました。

一方、TOPIX(東証株価指数)は同月に6.6%の上昇にとどまり、日経平均との格差が鮮明になりました。

NT倍率が示す相場の偏り

この月に特に注目すべき指標がNT倍率の動きです。NT倍率とは日経平均株価をTOPIXで割って算出する指標で、日本の株式市場全体の傾向を読む上で重要なバロメーターです。

4月27日には終値ベースで16.21倍と過去最高水準を更新しました。一般的に10〜12倍程度が正常とされ、2023年以降の半導体ブームでも平均14倍前後で推移していたことを考えると、この数字の異常さがわかります。

NT倍率とは何か:

日経平均株価をTOPIXで割って算出する指標です。日経平均は値がさ株(株価の高い銘柄)の影響を強く受けるのに対し、TOPIXは時価総額に基づくため、より広い市場全体の動向を反映します。NT倍率が高いほど一部の値がさ株だけが上がって、市場全体はついていけていない状態を意味します。2026年4月の16倍超えは、一握りの半導体・AI関連銘柄が市場を牽引する極端な二極化が起きていたことを示しています。

月末にかけての重石

4月後半は、日銀のタカ派的な展望やFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げに対する慎重姿勢を受けた国内外の金利上昇が重なり、相場の上値を抑えました。原油価格の再上昇も加わり、それまで相場をけん引してきた半導体関連株を中心に売りが広がる場面も見られました。内需株に資金が一時シフトするなど、月後半はやや不安定な動きとなりましたが、それでも日本株は月間で大幅高で終えました。

ライジング・サンの4月実績

基準価額と運用成績

項目 ファンド ベンチマーク
過去1ヶ月 +6.1% +8.9%
過去3ヶ月 +1.0% +7.3%
過去6ヶ月 +7.0% +7.1%
過去1年 +28.1% +15.6%
過去3年 +57.9% +6.4%
設定来 +867.0% +147.0%

2026年4月30日時点の基準価額は74,864円、純資産総額は50.9億円です。当月のファンドのリターンは+6.1%と、しっかりプラスを確保しました。ただし、ベンチマークである東証グロース市場指数(配当込み)の+8.9%を2.8%下回る結果となりました。

この乖離は、先ほど触れたNT倍率の異常高値と表裏一体の現象です。ライジング・サンはグロース市場の中でも、AI・半導体に直結する銘柄への集中投資とは距離を置いた、割安小型株の厳選ポートフォリオを組んでいます。そのため、一部のテーマ株に資金が集中する局面では、短期的に指数に劣後することがあります。

しかし、過去1年のリターンを見ると、ファンドが+28.1%に対してベンチマークは+15.6%です。設定来では867%対147%という圧倒的な差がついています。短期の勝負より、長期のパワーがこのファンドの真骨頂と言えるでしょう。

プラス・マイナスに寄与した銘柄

当月のパフォーマンスにプラスに寄与したのは、MARUWA、ミスミグループ本社、PILLARの3銘柄です。いずれも製造業を支える素材・部品・流通の企業で、AI・半導体投資の拡大が間接的に需要を押し上げています。

一方、マイナスに影響したのはU-NEXT HOLDINGS、サイバーエージェント、共立メンテナンスでした。コンテンツ・メディア関連やホテル・学生寮管理といった内需系企業が売られた点は、半導体株への資金集中という4月特有の傾向を改めて裏付けています。

4月のポートフォリオの注目ポイント

MARUWAが首位に浮上した意味

今月のポートフォリオで最も注目すべき変化は、MARUWAが組入比率4.5%でトップに躍り出たことです。3月レポートでは戸田建設が首位でしたが、4月にはMARUWAが最大組入銘柄となっています。

MARUWAはセラミック部品を中心に事業を展開する愛知県の企業です。一般消費者にはなじみが薄いものの、生成AI向けデータセンターで急増する光トランシーバーの半導体レーザーに使われる高熱伝導放熱基板、半導体製造装置部品、EVの車載用セラミック製品などを手がける縁の下の力持ち的な存在です。

直近の決算では売上高が前期比16.7%増、営業利益が前期比35.9%増と二ケタ以上の増収増益を達成しており、アナリストからも強い買い推奨が集まっています。スパークスがMARUWAを最大組入銘柄に位置づけた判断は、こうした業績成長と株価の割安感が合致しているからこそといえます。

MARUWAのセラミック基板がAI時代に求められる理由:

生成AIの学習・推論を支えるGPUは膨大な熱を発生させます。データセンターの稼働率が高まれば高まるほど、放熱管理は死活問題になります。MARUWAが得意とする高熱伝導セラミック基板は、熱を効率よく逃がすことで半導体の性能と寿命を守る役割を担います。シリコン系の素材よりも熱伝導率が高く、かつ絶縁性も優れているため代替が難しく、高い参入障壁が競争優位の源泉となっています。

組入上位10銘柄の顔ぶれ

順位 銘柄名 比率 業種
1位 MARUWA 4.5% ガラス・土石製品
2位 ミスミグループ本社 4.1% 卸売業
3位 リンテック 3.7% その他製品
4位 PILLAR 3.6% 機械
5位 東京建物 3.5% 不動産業
6位 横浜ゴム 3.4% ゴム製品
7位 山陰合同銀行 3.3% 銀行業
8位 タクマ 3.3% 機械
9位 ニプロ 2.8% 精密機器
10位 ペプチドリーム 2.7% 医薬品

3月と比べると、戸田建設が上位から外れ、代わりにペプチドリームが新たにトップ10に顔を出しています。上位10銘柄の顔ぶれは製造・機械・不動産・金融・医薬と幅広く、特定のテーマに偏った構成にはなっていません。この分散と集中のバランスがライジング・サンらしさといえます。

ペプチドリームという新顔

10位に登場したペプチドリームは、創薬モダリティとして注目される環状ペプチド(特殊ペプチド)の開発・提供を手がける創薬バイオ企業です。ファイザーやブリストル・マイヤーズ スクイブなど世界の大手製薬企業と複数のパイプライン提携を結んでおり、ライセンス収入が業績の安定性を高めています。

AI創薬という潮流の中で特殊ペプチドへの関心が高まっていることを踏まえると、スパークスがこのタイミングでペプチドリームをトップ10に引き上げた判断は非常に興味深い視点といえます。

6万円相場は小型株投資家にとってチャンスか

日経平均が6万円を超えた局面で、多くの個人投資家が感じているのはもう上がりすぎではないかという不安ではないでしょうか。確かに、NT倍率の異常高値が示すように、現状の上昇は一部の半導体・AI関連の値がさ株が主導するものです。

ところが、ライジング・サンが投資する中小型株の世界を見ると、TOPIX全体の上昇率が6.6%にとどまっている事実が示すように、多くの割安株はまだ十分に評価されていません。4月のベンチマーク(東証グロース市場指数)が+8.9%だったとはいえ、内実を見れば資金は一部の銘柄に集中しており、個別の掘り出し物は依然として残っている状況です。

スパークスのボトムアップ・リサーチが狙うのはまさにそこです。市場が気づいていない成長余地、一時的な悪材料で過度に売られた優良企業、こうした銘柄を地道に探し続けることで、設定来867%という長期リターンが積み上がってきました。

ボトムアップ・リサーチとは:

マクロ経済の見通しや業種の方向性を起点にするトップダウンの反対の手法です。個々の企業を丹念に調査し、そのビジネスモデル・財務体力・経営陣の質・株価の割安度などを積み上げて投資判断を下すアプローチです。ライジング・サンが業種ごとの比率をあらかじめ決めない運用方針を掲げているのも、このボトムアップ哲学の表れです。結果として業種が自然に分散されるため、特定テーマへの集中リスクを避けつつ、個別株の割安感をしっかり取りに行くことができます。

ファンドの基本情報と運用方針

ライジング・サンの投資対象は、以下の3つの基準を満たす銘柄です。

まず、中長期的に高い成長が期待できる企業であること。次に、収益力に対して株価が割安に放置され、かつ経営体質の改善や変化の兆しが認められる企業であること。そして、その成長や変化を支える優秀な経営陣や技術を持つ企業であることです。

これらの基準は2000年の設定以来変わっていません。IT化、新技術開発、経営革新を進める成長企業と、日本社会の構造変化への適応力が高い企業が主なターゲットです。2026年4月末時点の銘柄数は45銘柄と、幅広く分散するインデックスファンドとは対照的に、確信度の高い銘柄に絞り込んだ集中投資スタイルを維持しています。

また、NISAの成長投資枠に対応しているため、長期・非課税での積み立てを検討している方にとっても選択肢のひとつとなっています。

相場の主役が変わっても、変わらない投資哲学

日経平均6万円、NT倍率の過去最高更新という歴史的な局面を経験した2026年4月。華やかな主役の陰で、ライジング・サンは着実に+6.1%のリターンを積み上げました。短期では指数に劣後する場面もありましたが、1年・3年・設定来という長い時間軸でのパフォーマンスは依然として圧倒的です。

MARUWAの首位浮上、ペプチドリームのトップ10入りという今月の変化は、スパークスのリサーチチームが常にポートフォリオを磨き続けている証でもあります。来月のレポートでどんな変化が起きるか、ぜひ引き続きチェックしてみてください。

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